改正土地改良法が成立 |
土地改良法の一部を改正する法律案は、6月6日の参議院本会議、22日の衆議院本会議で政府原案を可決、成立した。
農林水産省は、6月中に公布し、来年4月の施行を目指すとしている。
法律案の骨子については、本紙第420号に掲載したとおりであるが、次の附帯決議が付けられた。
附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に努め、食料・農業・農村基本法の基本理念の実現に向け、土地改良事業の円滑かつ効果的な実施に遺憾なきを期すべきである。
1.土地改良事業の施行に際し環境との調和を図るに当たっては、極力環境の保全が図られるように配慮するなど環境に積極的に適合するよう努めること
2.土地改良事業の施行に当たっては、地域の合意形成を一層重視し、地方公共団体の意向を尊重すること
3.国営又は都道府県営土地改良事業の計画決定に当たり、住民から提出された意見の取り扱いについては、これを公表するなど適切な措置を講ずること
4.農村地域の混住化傾向に対処し、土地改良施設の維持更新が適切に行われるよう国及び地方公共団体による指導の強化及び助成に努めること
5.国営又は都道府県営土地改良事業の推進に当たっては、事業実施地区の意向を十分に把握するとともに、再評価の結果を踏まえて、計画変更や廃止の手続きを適切かつ迅速に講ずること
6.土地改良事業の推進に当たって、工期の短縮、工事コストの縮減、土地改良区の合併などに一層努めること
7.土地改良区の公共・公益的な性格に鑑み、その適正な業務執行に向けて国及び地方公共団体による指導の徹底を図ること
「田んぼの学校」を開設 |
本会にある「田んぼの学校」在来種保存塾(AQUA)は、(社)農村環境整備センターが本年2月に公募した第3回「田んぼの学校」企画コンテストにおいて優秀賞に選ばれ、いよいよ活動することとなった。
このコンテストは、田んぼや水路、ため池などを活用して環境教育に取り組む「田んぼの学校」活動の広がりを目的として、企画の独創性、プログラムの完成度、地域活性化などを総合的に評価し、優れた企画を表彰・支援するもので、今回は、全国から114件の応募があり、企画賞10地区、優秀賞20地区が選ばれた。
AQUAの活動内容ついては、「田んぼの学校」の基本的な考え方を遵守し、県内のため池、沼等に外来魚であるブラックバス、ブルーギルが放流され、爆発的に繁殖して在来種のフナ、モツゴ、タモロコ、ムギツクが捕食されるため、激減し絶滅の危機にさらされている。
そこで、農村の自然環境生態系を残すため、「池干し」、「ため池補修」等の情報を管理団体より収集し年間事業計画を立案して、隣接市町村小学校に対して参加を呼びかけ、生きた魚に触れる学習会を開催するとともに、併せて外来魚の一掃を図る。
また、活動時期が農業用水の不必要な10月から2月となるため、植物外来種のセイタカアワダチソウの駆除も行うとしている。
AQUAでは、ため池等の管理者に対してアンケートを実施することとしていますので、この活動に深いご理解を賜り、是非ともご協力くださるようお願い申し上げます。
換地センター運営委員会を開催 |
本会は、去る5月25日、栃木県土地改良会館において栃木県換地センター運営委員会を開催した。
運営委員会では、平成12年度に実施された諸会議、研修会、土地改良換地士部会、異議紛争処理対策、農地集団化規模拡大対策、非農用地換地推進対策等の事業活動状況並びに換地処分実績、年度別換地処分量の長期見通し及び平成12年度収支決算並びに換地処理予定地区の処理状況等が報告された。
また、平成13年度の事業計画等について審議が行われ、各議案とも原案どおり承認・議決された。
なお、議事に先立ち次のとおり任期満了に伴う委員の委嘱がなされた。
◎委員(敬称略)
阿部 徳志(関東農政局土地改良管理課長)
厚木 一男(宇都宮地方法務局首席登記官)
殿村 聖二(栃木県農務部農地整備課長)
杉浦 博(栃木測量換地(株)代表取締役社長)
鈴木 克政(栃木県土地改良連合会参事)
八木 橋幸一(栃木県土地改良換地士部会長)
管理指導センター運営委員会を開催 |
本会は、去る5月25日、栃木県土地改良会館において栃木県土地改良管理指導センター運営委員会を開催した。
運営委員会では、平成12年度業務実績報告(土地改良施設管理指導業務、適正化事業加入及び実施状況、施設改善対策事業加入及び実施状況、土地改良相談、収支決算等)と平成13年度業務実施計画(土地改良施設診断実施計画、適正化事業及び施設改善対策事業実施計画、土地改良相談所開設計画、収支予算等)の2議案について審議がなされ、各議案とも原案どおり承認された。
なお、議事に先立ち次のとおり任期満了に伴う委員の委嘱がなされた。
◎委 員(敬称略)
委員長 沼部 和弘(栃土連専務理事)
委 員 阿部 徳志(関東農政局土地改良管理課長) 〃 関 光男(関東農政局土地改良技術事務所長) 〃 野澤 章浤(栃木県農地計画課長) 〃 殿村 聖二(栃木県農地整備課長) 〃 佐藤 一巳(栃土連理事) 〃 鈴木 克政(栃土連参事)
農村総合整備センター運営委員会を開催 |
本会は、去る5月28日、栃木県土地改良会館において、栃木県農村総合整備センター運営委員会を開催した。
会議に先立ち、後記のとおり任期満了に伴う委員の委嘱状が後藤副会長から伝達された後、会議に入り平成12年度農村総合整備推進事業実績報告と平成13年度農村総 合整備推進事業計画として、技術指導活動及び技術向上対策等を承認決定した。
◆運営委員(敬称略)
委員長 渡辺 良治
(栃木県農村総合整備事業促進協議会会長)
委 員 人見 健次
(栃木県農村総合整備事業促進協議会副会長)〃 野澤 章浤(栃木県農地計画課長) 〃 中本 達麿(栃木県農村振興室長) 〃 後藤 伊位
(栃木県土地改良事業団体連合会副会長)〃 沼部 和弘(栃土連専務理事) 〃 鈴木 克政(栃土連参事)
農村総合整備事業促進協議会総会を開催 |
栃木県農村総合整備事業促進協議会は、去る5月28日、栃木県土地改良会館において第25回通常総会を開催した。
総会は、会員である県内の農村総合整備事業事業実施市町村の代表者が出席、来賓に中本達麿栃木県農務部農村振興室長、野澤章浤同農地計画課長、沼部和弘栃木県土地改良事業団体連合会専務理事等を迎え盛大に開催された。
議事では、平成12年度事業報告、同収支決算、平成13年度事業計画、同経費の負担及び払い込み方法、同収支予算、任期満了に伴う役員選任の6議案を滞りなく審議決定した。
なお、役員の補欠選任の結果、次のとおり選任された。◆新役員
監 事 清水 英世氏(壬生町長)
中山間地域における土地改良区の実態調査報告書 (その1) −土地改良区の役割とその可能性− |
農村地域においては、人口・世帯数の減少と高齢化の進展や混住化の進行に伴い、農業集落の構造は大きく変容するとともに集落機能が低下しつつある。
特に中山間地域においては、集落機能の低下は単に農業生産のみならず、地域資源管理までをも困難なものとしてしまい、農業・農村が有する多面的機能が喪失されかねないことが懸念されている。
さらに、一般に耕作条件が不利とされる中山間地域では、高齢化が進み傾斜度の高い地域を中心に耕作放棄地が増加しているが、この耕作放棄地の増大は、集落機能の低下、農家の高齢化・担い手の不足とともに中山間地域に存する土地改良区の運営、維持管理に対して重大な影響を及ぼしているものと考えられる。
このため、全国土地改良事業団体連合会では、全国土地改良資金協会より平成11年度から中山間地域における土地改良施設の管理の実態、土地改良区の運営の実態等に関する調査を受託し、中山間地域の土地改良区の現状と課題について分析を行うとともに、地域資源管理団体として中山間地域の土地改良区が担い得る役割とその可能性について考察することとした。
平成11年度は、土地改良区運営実態調査(平成9年度全国土地改良事業団体連合会調査)の組替集計結果の分析を行い、中山間地域土地改良区の今後の方向と課題を析出した上で、中山間地域の土地改良区を15地区を選定し、現地調査を行って問題点を把握するとともに中山間地域土地改良区の今後の事業展開の方向性について取りまとめを行った。
平成12年度は、中山間地域土地改良区における土地改良区の運営状況、土地改良施設の維持管理状況及び中山間地域等直接支払制度への関与状況等に関するアンケート調査を115地区で実施した。
そして、アンケート調査地区の中から特色のある12地区を選定し、現地実態調査を行って地域資源管理団体として中山間地域の土地改良区が担い得る役割とその可能性について取りまとめを行った。
アンケート調査による中山間地域土地改良区の現状分析と現地実態調査の取りまとめについては、茨城大学農学部の安藤光義助教授が行い、その分析結果を報告書に掲載しているので、その概要(一部)を今月号と次号の2回に分けて紹介します。
1.アンケート調査結果にみる中山間地域土地改良区の現状と課題
茨城大学農学部助教授 安藤 光義
(1)はじめに
全国土地改良事業団体連合会が行ったアンケート調査の集計に基づいて中山間地域土地改良区の現状を総括するとともに、簡単に、今後、土地改良区が地域資源管理組織として発展していくための課題について私見を記した。
調査対象土地改良区は、(1)維持管理を行っていること、(2)専任職員が1人以上いること、(3)今後も施設管理の充実を図っていきたいとする意向のあること、という3つの条件を満たし、今後、地域資源管理組織としての展開を考えている131土地改良区を対象にして、115土地改良区から回答を得た。
(2)中山間地域土地改良区が農地保全に果たす役割
(1)受益区域内における農地の整備状況と耕作状況
−整備水準が耕作状況に大きく影響−
77%の地区が「農地整備はされている」としており、土地改良事業による耕作条件の改善の役割は、一応達成されている。
「遊休農地が目立つようになってきている」とする割合は、農地整備はされている土地改良区では、45%であるのに対して、農地の整備水準が低い土地改良区では、68%となり、土地改良区を立ち上げて農地を整備していくことが遊休農地の発生を防ぐための必須条件である。
しかしながら、これは十分条件ではなく、整備された農地が良好に耕作されているかというと必ずしもそうはなっていない。
遊休農地の発生は、中山間地域で顕著に進んでいる担い手不足が規定的な要因であり、整備水準の差がその発現の度合いの差となって現れているとみるべきである。
(2)土地改良区の受益区域の設定
−整備可能な農地のほとんどは土地改良区の受益区域に−
土地改良区の周辺に「土地改良区に編入した方がよいと思われる農地」があるかという問いに対しては、75%の土地改良区がないと答えている。
将来的に守っていくべき農地は、土地改良区の受益区域として囲い込まれている。
逆に言えば、守っていくことが難しいと思われる整備ができないような農地は、土地改良区の受益区域から外されていると言うこともできるだろう。
(3)中山間地域土地改良区の運営問題
(1)不在地主の増加と土地改良区に与える影響
−賦課金徴収の困難化−
最近10年間における組合員数の動向については、「10年前に比べてほとんど変わっていないが、不在地主が大幅に増えている」とする土地改良区の割合は13%にのぼっている。
この傾向は、中山間地域土地改良区全体に共通する。
この不在地主の増加は、土地改良区の運営に大きな支障をきたしている。
その最大の問題は、賦課金徴収の困難化である。
農業収益性の悪化がもたらす賦課金徴収の困難化という全国に共通する問題が、中山間地域の土地改良区では、不在地主の増加によってそれが一層増幅される形となって圧し掛かってきているというのが実態である。
(2)土地改良施設の維持管理問題
−土地改良区の規模との関係−
施設の維持管理における最大の問題点が「受益区域に比べ水路等の土地改良施設が長大で、平場の土地改良区の施設に比較して効率が悪く維持補修費が嵩む」という問題であり、全体の36%にのぼる。
ここで注目されるのは、受益面積が大きくなるに従ってその割合が高くなっていることである。
次に多いのが「農家が減少し、かつ、農業者の高齢化が進行し、従来からの夫役で管理していた仕組みが維持できなくなってきた」とする回答であり、全体の35%を占めている。
ここでも、小規模土地改良区ではパーセンテージが低くなっている。
3番目が「農地の生産基盤の条件が悪く収益性が低いため、土地改良区の賦課金の引き上げができず、維持管理費の確保が困難になっている」であり、全体の12%が回答している。
ここで特徴的なのは、小規模な土地改良区ほどパーセンテージが高くなっている点である。
(4)末端施設の維持管理体制
−下部組織との連携関係の構築が課題−
(1)水路・農道等の末端施設の管理体制
−基幹施設は土地改良区、末端施設は下部組織−
水路・農道等の末端施設の管理体制で最も多いのが「土地改良区は基幹施設のみを管理しており、末端施設の管理組織として水利組織を下部組織として位置付けけている」であり、44%が回答している。
数十haの小規模な土地改良区を除けば、基幹施設は土地改良区が管理し、末端施設の維持管理は下部組織に任せるというのが土地改良区の一般的な姿と言ってよい。
次に多いのが「土地改良区は、管理規程に基づき末端施設まで土地改良区が直接管理することとしている」であり、31%の土地改良区が回答している。
ここで特徴的なのは、どちらかと言うと小規模な土地改良区ほどパーセンテージが高くなっている。
また、「土地改良区は基幹施設のみを管理しており、末端施設については何らの関与もしていない」は14%であり、小規模土地改良区と大規模土地改良区の両極で高くなっている。
(2)末端施設まで直轄管理する土地改良区が抱える課題
−夫役出役者確保の困難化−
全体としては「特に問題はない」が60%を占めているが、「問題がある」としている39%の土地改良区の具体的内容は、「耕作者の減少で出役作業をする人数が減り、残った耕作者に負担がかかる」、「組合員の老齢化等により組合員が減少した分、施設の管理に人手不足が生じつつある」、「高齢化・後継者不足等によりだんだん機能しなくなってきている」、「労力不足、管理のための維持費を上げることも困難」などであり、高齢化、農家戸数の減少等により土地改良区による直轄管理を支える夫役体制が維持できなくなってきていることが共通した問題となっていることがわかるだろう。
(3)基幹施設=土地改良区、末端施設=下部組織の場合の連携関係
基幹施設を土地改良区が管理し、末端施設は下部組織が管理するという分担関係にある場合、両者の間にどのような連携関係・支援関係が築かれているかがポイントとなってくる。
アンケート調査結果では、75%(38/51)の土地改良区が下部組織に対し何らかの支援を行っている。
その支援の主な内容は、用水路の維持管理費の一部助成や下部組織の維持費の補助、U字溝やセメント・土嚢などの現物資材の供与などである。
その中でも「大きな補修の場合には、県土連の緊急整備事業での助成(30%)を受け、助成残の1/2程度を土地改良区が助成する。
また、小さな修理についても状況により土地改良区が1/2程度を助成する。」という連携関係が構築されている土地改良区は、今後の土地改良区のひとつのあり方を示しているものとして注目される。
(5)土地改良施設の維持管理体制のあり方について
(1)今後の土地改良施設の維持管理体制
−土地改良区直轄管理と自治体管理とが拮抗−
土地改良施設の維持管理をどこが担うべきかという問いに対しては、「土地改良区が管理すべきである」39%、「自治体が管理すべきである」が38%と両者で8割近くを占めており、「集落等の下部組織が管理すべきである」は18%という結果となった。
これを規模別に見ると、「土地改良区が管理すべきである」とする割合は規模が小さくなるに従って増加する傾向にあるのに対し、「自治体が管理すべきである」とする割合は大規模な土地改良区ほど大きくなる傾向にある。
小規模な土地改良区は、集落・地域との一体性が強く、土地改良区自らが維持管理に積極的にあたる体制を維持していこうとしている一方、規模が大きくなるに従い、維持管理は自治体に任せたいという意向を強めている。
なお、私見ではあるが「その他」の意見であった「自治体の応援を得ながら土地改良区が主体となって、下部組織と協力して管理する」と言うのが理想ではないかと考えている。
(2)自治体管理の理由・土地改良区直轄管理の理由
それでは両者がどのような理由に基づいて選択されているのかについては、まず、「自治体が管理すべき」とする理由だが、「土地改良区自らによる管理には限界があるので、地方自治体が土地改良区を支援しながら一体的に管理することが望ましい」が最も多く69%を占めている。
職員数や出役者の確保にも限界があり、外部委託しようにも賦課金のこれ以上の値上げは困難であるため、最後の頼みの綱として自治体へ土地改良施設の維持管理を任せたいとしているのであろう。
なお、「その他」の中では「中山間地の用排水路は特に山林や地域の雨水排水路等になっているため」という理由が、土地改良施設が有する公益的機能(国土保全機能・洪水防止機能)に着目し、その便益が広く地域住民に享受されていることを根拠に自治体負担を義務づけようとする意見であり、注目される。
次に「土地改良区が直轄管理すべき」理由だが、「土地改良施設の管理と農地保全は、地域の農業者が組織する土地改良区で一体的に行うことが望ましい」が61%と最も多く、次いで「土地改良施設の管理は、地域の共有財産的性格が強いので、その管理は地域の農業者が組織する土地改良区等の地域資源管理団体が行うことが必要と思われる」が34%と続いている。
両者の回答の区別はつきにくいが、農地とそれを生産財として機能させている土地改良施設は、先人が築き上げた貴重な地域資源であり、地域の農業者自らが維持していくのが筋であるという考え方が支配的であると言うことは間違いないようである。
また、土地改良区が地域資源管理の最適なユニットであるという認識があると考えられる。
(6)土地改良区が農村地域の維持・保全に果たす役割
(1)農村地域の維持・保全のために取り組んでいる活動
−耕作放棄地の仲介・斡旋−
農村地域の維持・保全に対し何らかの取り組みを行っている土地改良区は、36土地改良区であり、その活動は延べ51件に上っている。
その中で最も多いのが「作り手のいない農地が生じた場合、それを耕作者に斡旋している」とする回答で21%を占めている。
土地改良区自らが耕作放棄地の管理を行うことは人員体制等の制約から不可能であるが、農地流動化の斡旋を通じて農地保全に貢献している姿が見えてくる。
そして、この割合は、小規模な土地改良区で高くなっている。
土地改良区に蓄積されている農地に関する莫大な情報は、地域に密着した小規模な土地改良区の方が活かしやすいということになるだろうか。
それだけに大規模な土地改良区では下部組織を支援、活性化し、農地流動化斡旋機能を強化していく必要があると考えられる。
一方、「棚田の保全を都市部にPRしている」と回答した土地改良区に、300ha未満の小規模な土地改良区はない。
数自体が少ないという問題もあるので何とも言えないが、とりあえずこの数字が正しいとすれば、ある程度の規模の土地改良区でないとPR活動に取り組むだけの余力は生まれてこないということになり、合併による財務体質の強化と人員体制の強化は、一定程度の意義を有しているということになるだろう。
(2)農村地域の維持・保全にとって必要な課題
−担い手の育成・確保−
農村地域の維持・保全にとって重要な課題は何かという「問い」に対しては「地域の農業の担い手に対する施策の充実が必要である」が67土地改良区でトップとなっており、農地を守ってくれる担い手をどのようにして育成・確保するかが最大の課題であるという結果が出ている。
土地改良区が農業者に代わって農地管理主体となることはできない以上、担い手を育成・確保しなくては、農地を守ることはできないという危機感が強まっているのである。
「その他」の自由意見のところで「農業公社等農作業受託組織の設置」、「集落営農組織強化への施策の充実」が出されているのは、同じ危機意識が共有されていると見てよい。
次いで、「農業の生産基盤の整備が必要である」が24土地改良区で続いている。
農村地域の維持・保全にとって基盤整備が必要であることは当然であるが、それはあくまで必要条件であって必要十分条件とは成り得ないというのが現地の認識である。
また、中山間地域における基盤整備の意味は、農業生産性の向上というよりも農地を守る体制を築くための必要条件であるとして位置付け直していく必要がある。
(7)土地改良区内における担い手の展開状況と維持管理への関わり方
(1)担い手の展開状況
−集落営農も含めた担い手の育成が困難な土地改良区が3分の1−
それでは、実際に担い手はどの程度の展開を見せているのであろうか。
「法人経営や認定農業者などの担い手が展開している」とする土地改良区は僅か2つ、「法人経営や認定農業者などの担い手が育ちつつある」とする土地改良区が39あり、両者を合わせると全体の36%という状況にある。
中山間地域で担い手が展開する可能性があるのは、3分の1強程度にすぎないというのが現状である。
ただし、このパーセンテージは1000ha以上の大規模土地改良区になると5割近くに達しており、多少事情が異なってくる。
やはり大規模な土地改良区には、面積の大きい分だけ相対的ではあるが条件の良い農地がまとまって存在しており、それを集積する形で担い手が展開しつつあるということであろうか。
また、残りの3分2弱の土地改良区では「担い手の育成は困難」ということだか、その中でも「今後とも担い手の育成は困難である」とする土地改良区が37と、全体の3分1に上っている。
「担い手の育成は困難であるが集落営農が組織されている」と回答した土地改良区数とは別の数字であり、集落営農も含め農地を守っていく体制を築くことが完全にできない、言わば「お手上げ」状態にある土地改良区が全体の3分の1を占めているということを意味しており、事態の深刻さを端的に表している。
もう1つの「担い手の育成は困難であるが集落営農が組織されている」とする土地改良区の割合は、どちらかというと小規模な土地改良区で高くなっている。
小規模な方が集落・地域との一体性が強く、集落営農組織の立ち上げにも土地改良区が積極的に関与できる度合いが増す傾向にあるというは、読み込み過ぎであろうか。
(2)農地が流動化している場合の維持管理状況と今後のあるべき方向
−地主も含めた地域住民全員による出役管理体制が理想−
農地が流動化している場合、それに伴い土地改良施設の維持管理負担がどうなっているかという「問い」に対しては「農地を借りている担い手が出役・管理している」が最も多く、全体の3分の2近くを占めている。
農地の借り手が土地改良施設の維持管理も行うというのが一般的な状況のようである。
ただし、このパーセンテージは150ha未満の小規模な土地改良区になると5割を切っており、農地を貸してしまえば地主は何もしなくても構わないということには必ずしもなっていない点が注目される。
小規模な土地改良区では組合員が少ないため、農地を貸してしまった地主の出役なくしては土地改良施設の維持管理は行えないという状況にあるからであろう。
それはともかく、中山間地域の水田管理で最も大変なのが畦畔の草刈りや水路の浚渫であり、これがあるため担い手も借地による規模拡大に逡巡していることを考えれば「農地を借りている担い手が出役・管理している」という状況を変え、地主の参加を求めていくことが必要であることは間違いないだろうし、また、地主も土地改良施設の維持管理に出役することが担い手育成につながっていくのではないだろうか。
次に、土地改良施設の維持管理の今後のあり方について見てみよう。
アンケート調査結果によると「担い手に農地を貸した場合であっても、土地改良施設の維持管理は地域住民である地主や集落が主体となって管理すべきであると考える」が最も多く35%であり、次いで「担い手が農地を借入れて農業経営を行うのであれば、農地借入れに伴う水路及び農道等の維持管理も自ら行うべきであると考える」が29%で続いている。
今後の維持管理のあり方を考える場合、地域資源の良好な維持管理が良好な居住環境の維持につながっており、その便益は農業者だけではなく広く地域住民に享受されるということを考慮する必要があり、その結果として地主にも応分の出役を求めるというのは当然の方向であると考える。
勿論、土地改良施設が有する公益性を最大限に評価し、それは公的セクターが管轄すべきものであるとする意見もあるだろう。
事実「担い手に耕作に専念して農地を守ってもらうためには、借入農地に係る水路、農道等の管理は地方自治体が公的に行うべきである」とする割合が16%を占めている。
ただし、これは土地改良区が全てを直轄管理した場合と同様、費用の問題が生じてくる。
「土地改良区で管理をするとすれば公的助成措置がなければ難しい。
土地改良区の維持管理費の増崇になる」とする意見をそのまま地方自治体にあてはめれば「地方自治体で管理をするとすれば国からの助成措置がなければ難しい。地方税の増崇になる」ということになるだろう。
こうした費用負担、便益帰属の問題は簡単に結論を出すことができない以上、取り敢えず地域住民全員による出役体制を構築・維持していくことの方が現実的な方策のように思われる。
(8)中山間地域等直接支払制度と土地改良区との関わり
中山間地域等直接支払制度は、平成12年度に創設された制度であり、本格的な取り組み及びその成果があらわれてくるのは数年先のことであるが、この制度と土地改良区との関わり(特に集落協定への関与の仕方)について、少数ながらも回答を得たので、その概要を簡単に眺めてみることにしたい。
(1)集落協定参加の経緯
−市町村サイドの要請が主、自ら参加を申し出た土地改良区も−
アンケート調査の対象となった土地改良区のうち集落協定に参加しているのは6土地改良区と少ない。
直接支払制度の情報は、県・市町村などの行政サイドからもたらされており、それに対応したという面が強い。
ただし、土地改良区が集落協定に関与することになったのは、市町村からのはたらきかけによるところが大きい。
それでも「土地改良区から集落にはたらきかけて集落協定の締結に取り組んだ」土地改良区が2つあり、これは推測でしかないが、圃場整備事業等の償還金負担や恒常的な財政問題等の解決を目的に、土地改良区が直接支払制度に関わろうという動きも生まれていると考えてよいかも知れない。
現地調査では、こうした動きがあることが確認されている。
(2)集落協定への参加の実際
−維持管理活動が集落協定に、直接支払制度の事務受託も−
集落協定に参加している6土地改良区のうち土地改良施設の整備補修に直接関与しているのは、5土地改良区である。
そのいずれもが「水路及び農道の整備補修等(水路土砂浚い、草刈りを含む)」について関与するという取り決めになっている。
土地改良区による日常的な維持管理活動をそのまま集落協定に反映させたということができるだろう。
また、5つのうち3つまでが、これ以外に「その他」として「直接支払制度の事務受託」を行っている点も注目される。
圃場整備事業等の償還業務を行っている土地改良区が有する事務処理機能が有効に活用されているという点は、土地改良区の面目躍如たるところであるし、土地改良区は、市町村の事務負担を減らすとともに、場合によっては事務受託手数料を徴収して運営費にあてることを睨みながら、この方向で直接支払制度に関与していくのが望ましいと考える。
その他の活動としては「景観作物の作付」が最も多い。
次が「適正な農業生産活動を通じた耕作放棄の防止」で、「法面保護・改修」、「鳥獣被害の防止」、「農地と一体となった周辺林地の管理等」、「環境保全に資する活動」などが続いており、全体して見れば地域資源の維持管理に係る活動に力を入れたいという意向を有していると言って間違いない。
また、これらの活動は、地域資源の適正な維持管理を通じ、良好な居住環境の維持を実現しようという面もあると考えられるのである。
こうした集落協定に係る活動内容を協議する集落の相手は「集落の代表者」が最も多くなっている。
これは「土地改良区の理事・総代=集落の代表者」というオーバーラップした関係が一般的であり、土地改良区と集落とは別個の組織ではなく、かなりの部分で一体化していると見るべきであろう。
(3)集落協定にある維持管理活動の今後の見通し
−将来的には厳しい−
しかしながら、直接支払制度の適用を受けたとしても将来的な展望は、開けていないと言うのが現地の認識である。
「現在の組織運営体制からみて、長期的に集落協定に基づく水路・農地等の管理活動を継続できないと考えている」土地改良区が4土地改良区もあるからである。
こうした状況を打開するための条件としては「土地改良区と集落組織との一体的な活動体制の整備」と「土地改良区と行政主体(市町村)との協力体制の整備」がともに3件、次いで「管理活動経費の確保」が2件となっており、組織体制の整備・強化を図った上で管理活動に対する経費の補助を求めているという状況が見えてくるのである。
(4)自由意見にみる直接支払制度と土地改良区との関係
自由意見にみる直接支払制度と土地改良区との関係、土地改良区サイドから見た直接支払制度の問題点は、次の3点に大きくまとめることができるだろう。
1点目が、土地改良区の範囲・単位と直接支払制度が対象とする範囲・単位とのズレの問題である。
「一部区域は集落で実施、一部区域は土地改良区と別々になっているので維持管理関係が益々複雑化されている」、「地区内の中で直接支払対象集落とそうでない集落に分かれると連帯意識が薄れ、特に対象集落は土地改良区離れに拍車がかかるのではないかと心配される」、「管内の区域で直接支払制度に該当する者としない者とが同一集落にいる場合に、同じ組合員の中で不公平が生じるので、どう対応して調整を図るか苦慮している」などの意見が寄せられている。
土地改良区の範囲・単位と直接支払制度が対象とする範囲・単位とは必ずしも一致していないということが、歴史的に形成されてきた地域資源管理の範囲・単位を混乱させていると言ってよい。
この点については、当該制度が創設されたそもそもの目的は、平場に比べて劣る生産条件(指標として傾斜度)の差を埋めることであり、農村地域が有する多面的機能・公益的機能を評価、算定し、それに基づいて地域資源の維持管理そのものに対し助成金を交付するという制度ではないため、やむを得ない面があると言わざるを得ない。
ただし、逆に言うとこうした制度は、未だ創設されていないということであり、土地改良区を対象とした地域資源の維持管理のための直接支払制度を立ち上げる余地は、残されているということになるのではないだろうか。
2点目は、1点目の最後に記したような意向を土地改良区が有しているという点である。
例えば、「農道や水路の維持管理に要する費用として直接支払制度を適用するよう切望したい」、「制度の基本は農地を対象としており、農業用施設の維持保全に対する直接的な支援ではないので、農村地域の保全対策上、農業用施設に対する直接支援等を要請したい」、「農業用水だけでなく、生活用水の処理・防火用水の確保といった具合に、目的外の用水管理に対する農家負担軽減のためにも、直接支払制度の中から土地改良区に直接補助金が入ってくる仕組みの確立を是非ともお願いします」と言った意見がそれにあたる。
3点目が、そうした助成金の受け皿と同時に細かな事務処理機能を担う組織として土地改良区の地位を高めていきたいとする意見があるという点である。
「土地改良区が管理運営をしているので、直接支払制度についても土地改良区が全てにおいてできるような制度になっていればよいと思います」、「事務局体制がしっかりしている土地改良区は積極的に関与し、地区外の集落協定の事務委託を受け、財政基盤の強化に努めるべきだと考える」、「土地改良区機構の補完事務能力の充足が整備された段階で、土地改良区主体でこの制度の運営に積極的に取り組む考えである」などの意見がこれにあたる。
(9)おわりに−地域資源管理組織への転換−
中山間地域の農地は、土地改良区の受益区域に囲い込まれることによって圃場整備事業等を中心とする基盤整備事業が行われて初めてその保全が図られることになっており、土地改良区の受益区域は保全すべき農地の範囲と一致していると考えることができる。
土地改良区は、将来にわたって維持していくべき農地及び農村地域の範囲を示していると想定することができるのであり、土地改良区を地域資源管理の1つの単位として考えることの根拠がここにある。
その場合、大規模な土地改良区ほど「受益地域に比べて水路等の土地改良施設が長大で苦しんでいる」とする割合が高くなっており、大規模な土地改良区よりも小規模なそれの方が維持管理の困難性が小さいという点に注意しておく必要がある。
これは、特に中山間地域では自然的・地形的制約が大きいため、土地改良施設の維持管理に適正とされる土地改良区の規模は、それほど大きなものではないということを意味している。
中山間地域の大規模土地改良区の多くは、合併土地改良区であると推測されるだけにこの点は大きな問題となってこよう。
ただし、小規模土地改良区では、財務問題が顕著なものとなっていることを鑑みれば、合併による財務体質の強化は避けて通ることのできない課題であることも間違いない。
結局のところ、中山間地域においては、小規模土地改良区の合併を推進して財務体質の強化を図った上で、土地改良施設の維持管理については、地形条件等の自然的・物理的制約がある以上、合併前の土地改良区及び水利組合等の下部組織による従前の体制を維持しつつ、そこへの支援を通じて緊密な連携関係を構築しながら、農地も含めた地域資源管理活動の活性化(例えば集落営農体制の構築)を進めていくというのが妥当な方向ではないだろうか。
事実、アンケート調査結果でも土地改良施設の維持管理の分担関係は、基幹施設=土地改良区、末端施設=下部組織というケースが一般的であった。
この維持管理体制の将来については、規模の大小によって見解に違いが見られた。
小規模な土地改良区では、集落・地域と土地改良区が一体化しているということもあってか土地改良区による直轄管理を志向する割合が高いのに対し、大規模な土地改良区は、合併の結果1市町村1土地改良区となって事業推進のための行政の一機関化しているところが多いためか、自治体による管理を志向している割合が高くなっている。
前者については夫役確保の問題が、後者においては自治体財政の問題があるが、その根源は同じものである。
それは、住民の労力提供(=一定規模の組合員数)なくしては農道、水路等の維持管理を行うことはできないという問題である。
その直接的表現が夫役不足であり、経済的表現が維持管理雇用の発生に伴う財政問題なのである。
住民が労力提供を行う下部組織なくして土地改良区は適切な維持管理を行うことはできない(=土地改良区という組織が地域資源の直接的な維持管理組織とは成り得ない)いう点だけは銘記しておく必要がある。
この点は「農地が担い手に集積されたとしても地域住民全員による土地改良施設の維持管理が必要」とする割合の高さにあらわれている。
一方、農地の維持管理についてはアンケート調査結果にも見られるように「基盤整備は農地保全の前提条件」に過ぎず、「担い手育成なくしては農地は守れない」というのが共通認識である。
そして、農地保全のための活動も「農地の仲介・斡旋」が中心で、土地改良区自らが農地の維持管理主体とは成り得ないという点は、土地改良施設の維持管理と全く同様である。
ただし、小規模な土地改良区ほど相対的ではあるが、集落営農等の設立にコミットする割合が高く、集落・地域と一体となった活動を展開しやすいという傾向が出ている。
大規模な土地改良区では下部組織への支援強化を通じ、その活性化を進めていくことが必要とされる所以がここにある。
勿論、アンケートに回答した土地改良区のうち3分1は「担い手育成は困難」であるとしており、全体的な状況は危機的状態にあることに変わりはない。
直接支払制度に対しては、政策が施行されて日がまた浅いということもあって回答数は少なかったが、償還金負担軽減等を目的に積極的に関与しようとしている土地改良区が出てきており、日頃の維持管理活動がそのまま集落協定に盛り込まれ、制度実施に伴う事務作業を土地改良区が受託することで、土地改良区の財務体質の強化につなげようという動きが見られるといった実態が明らかとなった。
しかしながら、こうした対応にも限界があり、将来的には集落協定による維持管理体制は維持できないとみるところが過半を占めている。
土地改良区を地域資源管理のための組織として政策的・制度的な位置付けを行った上で、生産条件の不利性を根拠とする直接支払制度とは別個に、農村地域が有する多面的機能・公益的機能の維持保全を根拠とする助成金を流せるような仕組みを作って欲しいというのが土地改良区サイドの意向なのである。
いずれにせよ、中山間地域の土地改良区には、農業者のための事業実施組織から地域住民のための地域資源管理組織への転換が求められていることだけは、間違いないのである。
県民の日記念式典にて各種功労者を表彰 |
栃木県主催の県民の日記念式典は、去る6月15日の県民の日に、「地域のふれあいを求めて」をテーマにして、栃木県総合文化センターにおいて盛大に挙行された。
式典では、各種功労者・優良団体及び教育功労者・優良学校・優良団体(98名・31団体)の表彰と記念演奏会としてオペラ「日光」プレ演奏が行われた。
功労者表彰の栄に浴された土地改良関係者は、次のとおり。
◆地方自治功労(敬称略)
市 村 久 次(元矢板市議会議員・矢板市乙畑土地改良区理事長)
岸 慶 蔵(栃木市議会議員、栃木市東部土地改良区理事長、本会元役員)
増 子 育 男(元小川町議会議員、小川第一土地改良区前理事長、本会元役員)
渡 辺 芳 美(前岩舟町長、本会前副会長)
関東一都九県土地改良事業団体連合会協議会 春季総会 |
関東一都九県土地改良事業団体連合会協議会(山口武平茨城県土連会長)は、去る6月19日、東京都千代田区平河町の砂防会館において、平成13年度春季総会を開催した。
総会には、来賓に佐藤昭郎参議院議員、河原林吉男全土連常務理事を招き、平成12年度事業報告、同収支決算、平成13年度事業計画、同収支予算、国に対する農業農村整備事業推進に関する提案事項を原案どおり承認・議決した。
総会終了後、下記のとおり農林水産省に対して農業農村整備事業推進に関する提案を行った。
農業農村整備事業推進に関する提案書 関東ブロック管内の農業農村整備事業の推進につきましては、平素より格別のご高配を賜り、関係者一同深く感謝を申し上げます。
要望要旨
さて、我が国の農業・農村は、国民への食料の安定供給のみならず、国土及び自然環境の保全並びに歴史的文化を継承しつつ、安らぎのある美しい農村空間の提供等を通じて、国民生活と密接な関わりを持ち、我が国の経済発展に重要な役割を担ってきております。
しかしながら、今日の農業・農村は、過疎化、高齢化の進行と、担い手の減少等、かつてない厳しい状況にあり、与えられた使命はこれまで以上に高まっております。
関東ブロック管内におきましても、農業生産基盤と農村の生活環境を一体的に整備し、農地の保全と管理を積極的に展開し、地域の特色を活かした健全な農業の育成と活力ある農村の形成を図ることが一層重要になっております。
新しい「食料・農業・農村基本法」においても、農業農村整備は二十一世紀の持続的な社会を担う大きな柱と位置づけられております。
農政の大きな転換期にあたり、農業・農村が持つ多面的な機能と役割を効率良く発揮させるため、下記事項について特段のご高配を賜りたく要望いたします。
記
1 農業・農村の健全な発展と地域の活性化に不可欠な農業農村整備事業の計画的な推進
(1)担い手の育成と緊急生産調整推進対策及び土地利用型農業推進のための、かんがい排水事業、圃場整備事業、土地改良総合整備事業等の推進
(2)畑作振興のための畑地帯総合整備事業の推進
(3)農業規模拡大、農山村地域の振興及び国土資源の効率的利用に資するための農用地再編開発事業の推進
(4)魅力と活力のある農村建設のための農道整備事業の推進
(5)中山間地域における創造性豊かな農業農村建設のための中山同地域総合整備事業、中山間ふるさと・水と土保全対策事業の推進
(6)うるおいのある農村建設のための農村総合整備事業、地域環境整備事業、田園整備事業、農村活性化住環境整備事業の推進
(7)水質保全と住みよい農村建設のための農業集落排水事業の拡充強化
(8)農用地及び農業用施設を自然災害から防止する等の農地防災事業、保全事業及び農村環境保全対策事業の推進
(9)都市近郊地域及び島しょ地域の対策の充実
(10)土地改良事業関係調査計画費の確保
(11)農用地等集団化事業の強化推進
2 土地改良区の事業運営基盤の強化と土地改良施設の適切な整備・更新及び公的管理の充実
(1)土地改良施設の円滑な整備・補修に係る施策の強化及び基幹的な水利施設に係る適切な公的管理の実施
(2)土地改良施設の適切な更新・整備を図るための制度の創設
(3)土地改良区総合強化対策の推進
3 農業農村整備事業に係る受益者負担の軽減
(1)土地改良負担金総合償還対策の充実強化
(2)地方単独事業に対する地方財政措置の充実
東山新田地区の竣工式 |
このほど、県営圃場整備事業の東山新田土地改良区が竣工の運びとなり、5月30日、現地での記念碑除幕式と祝賀会が挙行された。
式典には、花塚發喜連川町長、栃木県知事代理の青柿晃坪農務部技監他多数の来賓と佐野時雄東山新田土地改良区理事長はじめ多くの役員が出席し、盛大に挙行された。
◆事業の概要◆ 事 業 名 県営圃場整備事業 東山新田地区
(秩序形成)地区面積 38.0ha 総事業費 7億2282万円 工 期 平成6年度〜平成12年度 組合員数 40名
豊富地区の竣工式 |
このほど、団体営土地改良総合整備事業の豊富土地改良区が竣工の運びとなり、6月2日、現地での記念碑除幕式と祝賀会が挙行された。
式典には、藤田傑那須町長、蓮実進衆議院議員、吉成昭運栃木県議会議員他多数の来賓と高久良一豊富土地改良区理事長はじめ多くの役員が出席し、盛大に挙行された。
◆事業の概要◆ 事 業 名 団体営土地改良総合整備事業
豊富地区(工業導入関連)地区面積 31.9ha 総事業費 2億2573万円 工 期 平成3年度〜平成12年度 組合員数 20名
平成13年度土地改良換地士資格試験の案内 |
試験期日
平成13年10月14日(日)
試験地
東京都ほか
受験資格
平成13年7月13日までに農用地集団化事業に関する実務に通算して3年以上従事した経験のある者
受験申込受付期間は、
平成13年7月13日(金)から8月31日(金)まで
受験の申込方法は
所定の用紙により郵送申込みに限る。(当日の消印まで有効)
受験願書等の用紙の交付及び受験の手引きの交付は
平成13年7月13日(金)から8月21日(火)まで、本会で行う。
詳細は
栃木県換地センター(028-660-5725)へ問い合わせください。
美しいとちぎのむら写真コンテスト |
◆募集内容
応募は次の2部門で、四切のカラープリント(四切ワイドを含む)とする。
(1)景観保持・文化部門(美しい農村風景・農山村の祭りや行事など)
◎美しい家並み・生け垣など、農村景観・風景(2)農業農村整備部門(土地改良で整備された農業用関連施設等が入った情景)
◎四季折々の美しい田んぼ・畑の風景や作業風景(田畑等で働く様子など)
◎歴史と伝統があり、望郷を感じさせる魅力ある祭りやイベント
◎名所・旧跡・名木などにマッチした美しい農山村風景
◎土地改良施設(ダム・トンネル・ため池・揚水排水機場・橋・農道・水路・堰等)が農業生産活動等に広く利活用されている情景◆応募期間
◎農村環境整備施設(農村公園・親水公園・農村下水道の水処理施設・水車小屋・記念碑等)を中心に地域住民とのふれあいを感じさせる情景
◎土地改良施設や農村環境施設が、農村景観にマッチし、潤いや安らぎを感じさせる情景
平成13年6月15日(金)〜10月15日(月)
◆応募規定
応募作品は、撮影地県内で、未発表作品であり、同一作品又は類似作品を他のコンテストなどへ応募していない作品に限る。違反作品と主催者が認めた場合は入賞後でも取り消す。
応募資格は、県内に居住又は勤務している方とし、応募作品に応募票を付けて各市町村農政担当課又は県内のカメラ店へ10月15日(月)までに提出すること。
◆入賞作品の取扱
入賞作品は返却しない。入賞された方は、期日までにネガ又はポジを提出すること。(提出しない場合は、入賞を取り消す場合がある)
入賞作品の著作権は主催者に帰属し、入賞作品の中から農林水産省等が主催する「美しい日本のむら景観コンテスト」へ推薦することがある。
◆審査・展示・表彰
主催者が委嘱する審査委員が審査し、審査結果は応募者へ11月中に直接通知する。
入賞作品は、12月20日(木)〜23日(日)まで栃木県総合文化センター第2ギャラリーに展示する。
なお、入賞者の表彰式は、12月20日(木)午後2時から行う予定。
◆入賞点数
景観保持・文化部門、農業農村整備部門ごとに次のとおり予定。(優秀賞以上の入賞は、1人1賞)
最 優 秀 賞 1点 賞状「栃木県知事賞」 副賞50,000円 優 秀 賞 3点 賞状「栃木県農務部長賞」 副賞20,000円 優 良 賞 10点以内 賞状「主催者賞」 副賞10,000円
◆主 催 者
ふるさととちぎ21活性化塾
栃木県
栃木県土地改良事業団体連合会
◆後 援
栃木県市長会・栃木県町村会
下野新聞社・日本農業新聞社
栃木県カメラ商組合
栃木フジカラー株式会社
◆お問い合わせ先
ふるさととちぎ21活性化塾事務局
〒320-0047 宇都宮市一の沢町2−3−12
(社)栃木県農業振興公社構造改善課内
TEL028-648-9511 FAX028-648-9517
農業基盤整備資金の金利改定 |
平成13年5月9日付で、農林漁業金融公庫の農業基盤整備資金の貸付利率が次のとおり改定されました。
区 分 現 行 改 定 補助事業 県 営 1.75% 1.65% 団体営 1.60% 1.50% 非 補 助 一 般 1.60% 1.50%
お 知 ら せ |
本会の第67回臨時総会は、平成13年8月29日午後1時30分に開催する予定です。
平成13年6月主要行事報告 |
日 行 事 1 下都賀土地改良事業推進協議会総会 2 豊富地区圃場整備事業竣工式 5 那須管内農業農村整備事業推進懇談会 6 塩谷管内農業農村整備事業推進懇談会 6 農地流動化支援水利用調整事業新規採択地区研修 7〜8 広報企画研修会(実践編) 8 芳賀管内農業農村整備事業推進懇談会 8 河内管内農業農村整備事業推進懇談会 13 土地改良区運営実態調査の説明会 14 全国農地集団化協議会第49回通常総会 15 上都賀管内農業農村整備事業推進懇談会 15 県民の日記念式典 15 栃木県換地センター土地改良換地士部会第28回通常総会 18 農地流動化支援水利用調整事業土地改良事業団体連合会担当者会議 18〜20 災害復旧研修会 18〜22 農業集落排水技術実務者研修会 19 関東一都九県土地改良事業団体連合会協議会春季総会・陳情 21 栃木県土地改良専門技術者会第14回総会 22 下都賀管内農業農村整備事業推進懇談会 26 土地改良管理指導センター事務責任者会議 27 大沢地区圃場整備事業竣工式 28 故 早川一夫前足利市長市民葬 29 南那須農業振興事務所農村振興部所管事業担当者会議
表紙写真説明 |
表紙の写真『秋 蕎』
○撮 影 者
片山 久子(安蘇郡田沼町在住)
○撮 影 地
安蘇郡田沼町大字小見
○コ メ ン ト
平成12年度「美しいとちぎのむら写真コンテスト」景観保持・文化部門で優良賞に輝いた作品です。
蕎麦畑の作業風景ですが、こんなに奇麗に手入れをするから、秋には美味しい蕎麦の実をつけるのでしょう。近年、健康食品として人気の高い蕎麦は、県内各所で栽培され、また、味自慢のお蕎麦屋さんが鎬を削っております。
蕎麦の新芽と土の香りが匂い立つような雰囲気をもつ写真に仕上がっております。