『ぶどう畑の休日』
−主な内容−

第67回臨時総会・平成13年度会員研修会を開催

土地改良施設めぐり「今市扇状地の農業水利」

地球人会議シンポジウム「食料と環境の新時代」

県営土地改良事業換地業務感謝状贈呈式


水の作文コンクール・表彰式・「命の水」

農業基盤整備資金の金利改定

平成13年8月主要行事報告

表紙写真説明


第67回臨時総会・平成13年度会員研修会を開催

 本会の第67回臨時総会は、去る8月29日、塩谷郡藤原町において、会員337名(内委任出席5名、書面による出席166名)の出席のもとで開催した。

 総会は、後藤伊位副会長の開会宣言に始まり、渡辺文夫会長が主催者挨拶を述べ後、先の参議院比例代表選出議員選挙に土地改良の代表として立候補され、見事に当選された全国土地改良事業団体連合会顧問の段本幸男参議院議員が祝辞を述べ「ご支援をいただいた皆様に報いるためにも、農業・農村の振興、発展のため、身を呈して頑張りたい」と決意を披露された。
 さらに、栃木県知事代理の青柿晃坪農務部技監より祝辞をいただき、中本達磨農村振興室長、野澤章浤農地計画課長、各農業振興事務所農村振興部長等出席いただいた来賓の紹介が行われた。

 議事は、加藤一克姿川土地改良区理事長を議長に選任して進められ、平成12年度事業報告、同一般会計の決算、同財産目録についての3議案が原案どおり承認され、第4号議案の役員の補欠選任では、石田守男野尻土地改良区理事長が理事に選任されて、議事は滞りなく終了、小倉尚志副会長の閉会の言葉で総会の幕を閉じた。

 引き続き開催した平成13年度会員研修会では、栃木県立がんセンターの富永慶晤病院長が「最近の癌情報」と題して講演され、スライドを活用して、「癌」という病気の性格や癌細胞の仕組み、治療方法や予防方法などを分かりやすく説明された。
 

祝辞を述べられる段本参議院議員
 

講演中の富永先生

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土地改良施設めぐり「今市扇状地の農業水利」
栃木県地球人会議


 食料・環境・ふるさとを考える栃木県地球人会議は、去る8月25日、土地改良施設めぐりを実施し、県営かんがい排水事業大室地区の大室ダム等を見学した。
 当日は、午前9時に宇都宮市の栃木県土地改良会館に栃木県地球人会議の会員とその家族42名が集合し、バスに乗車して栃木県土地改良会館を出発した。
 初めに、今市市大室地内の大室ダムに到着、栃木県農務部農地計画課の野澤章浤課長から、今市扇状地内の水田252haの農業用水を安定的に確保するため、一級河川清水川上流の大室地内にダム及び揚水機場を新設し、農業生産性の向上と農業経営の安定、合理化を図る県営かんがい排水事業大室地区の概要と大室ダムの主要諸元、そして、ダムを活用した周辺の親水施設整備として県営水環境整備事業が行われており、併せて説明を受けた後、興味深く見学した。

 続いて、栃木県酪農業協同組合が管理運営している日光霧降高原の大笹牧場に場所を移し、ブラウンスイス牛の搾乳体験を行った。
 参加者は、初めて体験する牛の乳搾りに怖々触れていたが、「暖かい」、「柔らかい」などと感想を漏らしていた。
 さらには、ブラウンスイス牛乳による生クリームからバター作りに挑戦し、5〜15分をかけて自分で作ったバターの味覚を味わった。
 歓声の中から「甘い」、「美味しい」などと漏れ聞こえていた。
 昼食は、同牧場のレストハウス内でジンギスカン焼肉を堪能した。
 その後、広域農道日光地区を車中から見学しながら、東京電力株式会社鬼怒川工務所の今市発電所に到着、TEPCO鬼怒川ランドの星範夫副館長と中山亨副館長の案内により、今市ダムの地下発電所の中に入って、夜間に上部ダムの栗山ダムに水を圧送し、日中の電力需要が増える時に下部ダムの今市ダムへ流下させることによって発電する仕組みの説明を受け、発電所内の機械等を興味深く見学した。
 以上ですべての日程を終え、午後4時30分頃、栃木県土地改良会館へ戻って解散した。
 参加者からは、「普段見ることができない施設を見学することができて良かった」との意見が多く聞かれ、成功のうちに終了した。



搾乳体験


バター作り体験


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地球人会議シンポジウム
〜食料と環境の新時代〜
 シンポジウム「食料と環境の新時代〜第1回地球人会議から〜」は、8月7日午後1時から、東京都渋谷区の日本青年館において一般人や関係者等約800人が参加して開催された。

 主催は、食料・環境・ふるさとを考える地球人会議全国ネットワーク、全国土地改良事業団体連合会、都道府県土地改良事業団体連合会で、地球規模での温暖化や砂漠化、人口増加が叫ばれている中、日本人の食料と環境の現状、課題、新しい取組、展望など検証し、環境保全の観点から新しい農業・農村の在り方を考えようと開催されたものである。
 パネルディスカッションでは、経済評論家の内橋克人氏、東京農業大学長の進士五十八氏、宮城県立大学特任助教授のアン・マクドナルド氏、地球人会議かごしま会長の浜本奈鼓氏の四氏をバネリストに、農政ジャーナリストの会会長の中村靖彦氏がコーディネーターとして、生態系に配慮した農業農村整備事業の在り方や住民参加による地域づくりなど意見を交わした。
 オープニングでは、主催者を代表して梶木全土連会長が「地球人会議の活動を通じ、食料、環境、農業・農村について考えていただきたい」と述べられた。

本プログラムは、(1)プレゼンテーション、(2)活動報告、(3)パネルディスカッションの3部で構成。
山形県、富山県、長野県、沖縄県における食料、環境、ふるさとの保全活動の取り組みやデータを紹介する映像を織り交ぜながら、新しい時代に立ち向かう農業・農村の在り方や役割を食料、環境を視点に考える有意義な場となった。
 パネルディスカッションにおいては、新しい時代の農業・農村の在り方について、浜本氏は「農業者が、日本の農畜産物は安全で安心であるという消費者の期待を絶対に裏切ってはいけない。
また、消費者も農業者を理解し、農業・農村の良さを次世代につなげていこう」と、また、アン氏は「都市と農村の交流、ネットワークを確立する上で、子供達の役割が非常に大きいので、子供達が農業体験をできる環境整備の充実を図られたい」と呼びかけた。
 進士氏は「この頃は、農業者にも農村の素晴らしさが分かってきた。
これからは、地域の特性をもっと活かした農業・農村の構築が不可欠である」と、内橋氏は「市場万能主義の経済は、必ず失敗する。
人間の生存条件を重視する共生セクターとしての農業・農村が、この経済主義に待ったをかけることができる」と主張した。

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県営土地改良事業換地業務感謝状贈呈式
 県営土地改良事業の換地業務が完了した土地改良区に対する感謝状贈呈式が、去る8月22日に栃木県公館において開催され、長年にわたって土地改良事業の円滑な推進に尽力され、換地業務を完了した次の5つの土地改良区に対し、栃木県知事よりそれぞれ感謝状が贈呈された。

平成13年度感謝状贈呈の土地改良区の概要
土地改良区名理事長名市町村名事業名地区名換地区名面積
(ha)
換地処分
公   告
年 月 日
工事期間
小倉中部
土地改良区
理事長
江連 基
上河内町県営圃場
整備事業
小倉中部
地区
353.1H13.3.21S58〜H10
赤羽西部
土地改良区
理事長
本橋 登
市貝町県営圃場
整備事業
赤羽西部
地区
220.5H12.10.24S61〜H11
小倉南部
土地改良区
理事長
鈴木 利光
上河内町県営圃場
整備事業
小倉南部
地区
268.1H12.6.23S62〜H10
中 岡 本
土地改良区
理事長
釜井 傳一郎
河内町県営圃場
整備事業
中岡本
地区
229.7H12.9.29H2〜H11
芳賀町唐桶
土地改良区
理事長
岡田 純治
芳賀町県営圃場
整備事業
唐桶地区34.8H13.2.20H7〜H11
※面積は、換地計画書の総計表中の換地処分後の土地ΣSの面積


小倉中部土地改良区


赤羽西部土地改良区


小倉南部土地改良区


中岡本土地改良区


芳賀町唐桶土地改良区

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水の作文コンクール表彰式
 栃木県と栃木県水の週間実行委員会主催による「全日本中学生水の作文コンクール栃木県審査会表彰式」は、去る8月1日、栃木県総合文化センターサブホールにおいて、関係者等約500名の出席のもと盛大に行われた。
 表彰式は、田嶋進栃木県企画部長の開会挨拶に始まり、優秀賞5名、特別賞12名、佳作5名の方々に賞状と副賞が伝達された。
特別賞の栃木県土地改良事業団体連合会長賞には、作新学院中等部1年の檜山文音さんの作品「命の水」(後記掲載)が受賞した。
 表彰式終了後には、水のミニコンサート、水の講演会が開催され、初めにダニエル・フリック氏によるアコースティック・ギターの演奏が披露された。
続いて、日本人を母に持ち多方面で活躍されているコミュニケーターのマリ・クリスティーヌ氏が「水は生命の源」と題して講演し、水の大切さを訴えられた。





栃木県土地改良事業団体連合会長賞

  「命の水」


     作新学院中等部 1年 檜 山 文 音



 新緑がまぶしい季節になり、野山からは小鳥たちの鳴き声、水田からカエルの大合唱が聞こえはじめました。
 このさわやかな大自然の中で、おいしい空気を体いっぱいに吸いながら、祖父母の家で両親と一緒に田植えの手伝いをしました。
  祖父母の家は、私の住んでいる矢板市から、北へ15キロメートル程、車で15分ぐらいの西那須野町にあります。
 私は、あまり役にはたちませんが、家事を手伝ったり、早苗が入っている箱、苗箱と言いますが、この箱を母と一緒に、600枚程小さな用水路で洗いました。
 また、祖父が機械で植えやすいように、目印の棒を立てたりもしました。
 田植え・稲作に一番必要な物は何だと思いますか。
 それは水です。
 私の祖父母が教えてくれました。
 どんなに良い苗に育てても、どんなに良い天候に恵まれても、どんなにすばらしい機械が開発されようとも、水がなくては田植えはできないのです。
 私の祖父は、口ぐせのように、「ばあちゃん、水どうだ。だいじか。」一日に何回も何回も心配をして、水田へ行き水の見回りをします。
 私は、祖父母がこの時期になると水に対して、神経質になるのはどうしてかと不思議に思い祖父母に聞いてみました。
 すると、町の歴史について教えてくれました。
 昔の西那須野町は、水がなくて米を作ることができなかったこと、米作りどころか荒れ野で人も住んでいなかったことなど、祖父母もまた祖父母から言い伝えられたことを話してくれました。
 私も、小学校4年生の頃、社会科で那須野が原の開拓を勉強したことを思い出しました。
 那須野が原台地は、栃木県の北部にあり、那珂川とほうき川にはさまれた木の葉のような形の広びろとした台地です。
 今から120年くらい前の明治の初めの頃までは、川のそばや泉がわき出す所に人々が住んでいるだけで、西那須野町は荒れ野でした。
 この台地は、川の運んできた砂や小石が積み重なり、その上に火山灰土がうすく積もってできている地質なので、水もちが良くなかったそうです。
 私の先祖たちも、大きなおけを天びん棒にさげ、遠くはなれたほうき川へ水をくみに行ったそうです。
 家へ着くまでには、おけの水も半分に減るなど水を得るのが、本当に大変な時代でした。
 その頃、苦しむ農民の姿を見て那須野が原を大々的に開発しようとしたのが、印南丈作と矢板武でした。
 この二人をはじめ、多くの人の汗の結晶があったからこそ那須そ水が完成し、荒れ野だった台地に水路が確保でき、今では青々とした田や畑が広がり、多くの人が住む豊かな土地に生まれ変わったのです。
 私はこの歴史を聞いてとてもびっくりしました。
 今では、水道のじゃ口をひねればいつでもきれいなおいしい安心できる水が限りなく出てきます。
 私は今まで水のありがたさを改めて考えることもなく、シャワーを浴びる時、顔を洗う時など、水を出しっぱなしにして、水をむだにしてきた事が多かったと反省しました。
 私は、祖父母の話を聞いて改めて水の偉大さを知り、昔の人々の努力と苦労により、今の私たちの生活が成り立っているのだと思いました。
 祖父母は、過去の水不足の経験や先祖から語り継がれた話から、水の大切さを知り一滴でもむだにすることなく、米作りをしているのです。
 私は、この大切な水をむだにすることなく、いつまでも守り続けて行きたいと思います。


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農業基盤整備資金の金利改定
 平成13年8月3日付で、農林漁業金融公庫の農業基盤整備資金の貸付利率が次のとおり改定されました。

区 分現 行改 定
補助事業県 営1.55%1.75%
団体営1.40%1.60%
非 補 助一 般1.40%1.60%

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平成13年8月主要行事報告
行  事
1第23回全日本中学生水の作文コンクール栃木県審査会入賞者表彰式
1耕作放棄地の防止解消に関する研修会
2第1回農業集落排水事業諸基準等作成関東地方検討委員会
6〜8農業集落排水施設管理技術研修会
7栃木県換地センター異議紛争処理対策専門委員会
7栃木県換地センター地区担当換地士審議委員会
7(社)農業農村整備情報総合センター臨時総会
8塩谷地方土地改良事業推進協議会通常総会
8〜9関東一都九県土地改良事業団体連合会協議会総務・調査設計・換地担当部課長会議
10関東ブロック土地改良事業団体連合会農業集落排水事業技術検討会
22県営土地改良事業の換地業務に係る感謝状贈呈式
22〜23換地事務指導研究会・異議紛争地区処理対策検討会
23利根川水系農業水利協議会栃木県支部研修会
23〜24土地改良総合償還対策事業全国担当者会議
25栃木県地球人会議土地改良施設めぐり「今市扇状地の農業水利」
27〜29農業水利保全支援事業汎用水収支計算システム講習会
29〜30本会第67回臨時総会・平成13年度会員研修会
31生活関係改良普及員及び農業集落排水事業担当者研修会

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表紙写真説明
表紙の写真『ぶどう畑の休日』

○撮 影 者
 森    勝 氏(真岡市在住)

○撮 影 地
 下都賀郡大平町

○コ メ ン ト
 平成12年度「美しいとちぎのむら写真コンテスト」景観保持文化部門で最優秀賞に輝いた作品です。
 大平町のぶどう団地は、この時期の休日ともなれば多くの観光客で賑わっています。
 このぶどう団地も、昭和46年に着工した県営広域農道下都賀西部地区や圃場整備事業によって大規模化し、現在では関東随一の100haに及んでおり、地域の振興、活性化に大きく貢献しています。
 写真は、ぶどう狩りの後の昼食の様子だと思いますが、子供達の教育の場としても役立っています。
 技術的には、光が少なく、とかく単調な絵になってしまいがちなところを、人物を中心にぶどうを強調したところが良かったと思います。
 

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