『水土里ネットとちぎ』は本会の愛称です

『あぜ道の恐怖』
−主な内容−

平成15年度農業農村整備事業費政府予算案

地域とともに歩む「水土里ネット」に期待する

新しいステージ「水土里ネット」宣言

土地改良区の農業振興活動を考える研究会

シンポジウム「とちぎの美しい水と土と里を次世代に!」


農業農村整備技術強化対策研修会を開催

大塚宿前地区の竣工式

山前中部地区の竣工式

平成15年1月主要行事報告

表紙写真説明



平成15年度農業農村整備事業費政府予算案
 政府は、昨年12月24日の閣議で平成15年度予算案を決定した。農業農村整備事業費については、対前年比95.1%の8789億円となったが、公共予算から非公共予算へのシフト分135億円(前年度予算の1.5%)を加えると対前年比96.6%となり、公共事業全体の96.1%を上回ることができ、公共事業に関する厳しい情勢の下、実質ある予算が確保された。
 これにより、四つの資源を利活用した農業農村整備事業の展開方向に即した「いのち・循環・共生」の実現を図るとともに、公共事業から非公共事業への政策手段への転換による非公共事業の創設等新たな農村振興施策が展開されることとなった。
 また、注目すべき新規制度としては、圃場整備事業と土地改良総合整備事業が廃止・統合されて、効率的かつ安定的な農業経営の確立を図るため、(1)経営体育成基盤整備事業、(2)経営体育成促進事業(非公共、ソフト)、(3)農地等高度利用促進事業(非公共、従来の団ぽ等)として実施されることとなった。さらに、要望の多かった「ふるさと農道緊急整備事業」は、平成19年度まで5年間の延長が認められた。
(平成15年度農業農村整備事業予算のポイント)

平成15年度 農業農村整備事業予算のポイント

1.農業農村整備事業額
8,789億円(対前年比 95.1%)
うち「新重点4分野」6,402億円

2.農業農村整備事業予算額の主な内訳
1.既存ストックの有効利用を基本とした農地整備
2,660億円(対前年比 96%)

(1)経営体の育成・農地の高度利用等、地域ニーズに応じた水田整備
・既に整備された農地の高度利用に向けた機動的な整備に事業を重点化するとともに、基盤整備を契機とした経営体の育成を推進。
【主な事業】
○経営体育成基盤整備事業(新規)     875億円(皆 増)
○経営体育成促進事業(非公共:新規)   26億円(皆 増)
○農地等高度利用促進事業(非公共:新規) 88億円(皆 増)
○基盤整備促進事業(非公共)       173億円(93.4%)

(2)地域特性に応じた野菜等畑作物の産地強化に向けた畑地整備
・安全で安心な野菜・果樹等の産地強化に向けて、野菜生産基盤整備特別対策の一層の推進や、意欲ある経営体の育成・支援、畑地かんがいの推進・高度化、樹園地の再編強化、堆肥利用の土づくり等の取り組みと一体的な畑地整備を推進
【主な事業】
○畑地帯総合整備事業      482億円(106.9%)

(3)営農形態等の変化に対応した「人ともの」の流通ネットワークの構築
・農道を中心とした「人ともの」の流通ネットワーク機能の向上を図るため、水田や畑地の整備と合わせ、既設の農道について、地域の営農に即応した拡幅や舗装等の「改良」を積極的に推進
【主な事業】
○一般農道整備事業       116億円(115.4%)
・広域農道整備事業及び農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業においては、産地の形成に資する路線に重点化することとし、今後、新たな整備が見込まれる広域農道の整備のあり方については、第三者委員会の意見を踏まえて抜本的に見直し
【主な事業】
○広域農道整備事業       420億円(94.0%)
○農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業
                275億円(87.1%)

2.健全な水循環に資する農業水利施設等の整備
3,248億円(対前年比 92%)

■健全な水循環系を構築するため、流域全体を視野に入れ、安定的な水の供給や水質の保全などを図る農業水利施設や水質浄化施設を計画的かつ着実に整備

ストックマネジメントの導入による農業水利施設等の整備
・膨大な農業水利ストックの有効利用のため、新たな技術を活用した適切な予防保全対策により施設を長寿命化
【主な事業】
○国営造成水利施設保全対策指導事業(新規)
                5億円(皆 増)
○国営造成水利施設保全対策事業(新規)
                5億円(皆 増)
○農業水利施設保全対策事業
                3億円(99.9%)
・施設の「新設」から、耐用年数を迎えた施設ごとの機動的かつ効率的な更新整備による「既存ストックの有効活用」に重点化
【主な事業】
○国営かんがい排水事業(拡充)1,744億円(100.3%)
○補助かんがい排水事業     386億円(99.9%)

3.都市と農村が共生・対流する循環型社会の構築
2,142億円(対前年比 101%)

(1)都市と「人-もの-情報」の循環が可能となる新たなむらづくりの推進
・「きれいな空気」、「美しい自然」、「都市と変わらない生活」、「都市の持つ魅力へのアクセス」を備えた新たなむらづくりを積極的に推進
【主な事業】
○農村振興総合整備事業     208億円(153.9%)
 うち「むらづくり総合整備事業」(新規)
                100億円(皆 増)
○中山間地域総合整備事業    602億円(94.6%)
○田園整備事業         45億円(105.6%)
・「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、地域における有機性資源の着実な利活用が図られるよう、体制整備や調査・実証等による利活用システムの構築を図るとともに、リサイクル施設の整備をモデル的に実施
【主な事業】
○バイオマス利活用フロンティア推進事業
 (非公共:新規)        0億円(−)
○バイオマス利活用フロンティア整備事業
 (非公共:新規)        20億円(皆増)
・「e-むらづくり計画」に基づき、情報基盤の整備と地理情報システム等の活用により、地域情報や施設の管理、防災情報等の多様な農村情報を広く国民に受発信
【主な事業】
○農村振興支援総合対策事業(非公共:新規)
                 36億円(皆増)

(2)安全で安心なむらづくりのための防災対策
・農業災害を防止し、併せて地域の安全を確保する農地防災事業を推進
・緊急性、効率性についての客観的な指標等を活用し、農地防災事業を重点的・効率的に実施し、地域社会に貢献する広域的な防災事業への転換を一層推進
【主な事業】
○国営総合農地防災事業     355億円(109.7%)
○農地防災事業         353億円(99.7%)
○農地保全事業         115億円(95.0%)
○農村環境保全対策事業      92億円(99.8%)

4.様々な人々がふれあう「美しい自然と景観」
の維持・創造

■環境への影響の回避や最小化などの環境配慮の考え方に基づき、多様な人々の参画を得て、農地や水路等において、生き物の生息空間、美しい農村景観など環境の創造を全国展開

多様な「人」の参画による自然と共生する田園環境の創造
・計画・施工・管理の各段階において、地域住民、NPO等の多様な「人」の参画を通じて、自然と共生する田園環境の創造を推進するとともに、自然環境の保全活動を支援し、美しい日本の農村の原風景を再生
【主な事業】
○里地棚田保全整備事業(非公共:新規)
                18億円(皆 増)
○田園自然環境保全・再生支援事業(非公共:新規)          
                1億円(皆 増)

3.公共事業から公共事業以外への政策手段への転換

 地域の新しい政策課題に機動的に対応するため、公共事業予算の一部を非公共事業にシフトし(135億円)、以下非公共事業を創設。

 これらの新しい政策手段と農業農村整備事業を適切に組み合わせることにより、地域の主体性や創意工夫に基づく個性ある農村振興に向けた政策目的を効果的に表現。

○農地の高度利用を促進する観点から、多様な作物生産を振興するための暗渠排水、土壌改良等きめ細かな生産基盤整備を機動的に実施。
 ・農地等高度利用促進事業〔非公共〕の創設
○新たな自立的コミュニティづくりに向けて、公共事業と相互補完しつつ、農村のIT化を機動的かつ加速的に推進。
 ・農村振興支援総合対策事業〔非公共〕
○地域におけるバイオマスの利活用を推進するため、新技術を活用したバイオマスのリサイクル施設をモデル的に整備。
 ・バイオマス利活用フロンティア整備事業の創設

4.新たな土地改良長期計画の策定

 「食料・農業・農村基本法」「同基本計画」及び「改正土地改良法」等を踏まえ、時代の変化に即した今後の農業農村整備の実施方向を明確にするため、平成15年度を初年度とする新たな土地改良長期計画を策定。
○「いのち・循環・共生」の視点から、関係施策を効率的・重点的に実施。
○計画の重点を、消費者にもわかりやすい成果(アウトカム目標)に置くとともに、既存ストックの有効活用など新たな施策手法の導入等を検討。


農業農村整備事業 平成15年度予算の概要(国費)

事   項 H14年度予算額(1) H15年度予算額(2) 対前年伸率
(2)/(1)
農業農村整備事業
(うち農村振興局)
924,170
902,555
878,880
858,422
95.1
95.1
(農業生産基盤整備)
1.かんがい排水
  うち国営かん排
2.経営体育成基盤
3.諸土地改良
  うち諸土地改良
  うち水田農業振興緊急整備型
4.畑地帯総合農地整備
  うち担い手育成型
5.国営農用地再編開発
6.公団事業
7.その他

480353
222189
173906
105226
6290
5344
640
60593
26472
22877
32587
30591

469276
222338
174353
97610
6360
5468
965
61947
31769
18712
30764
31544

97.7
100.1
100.3
92.8
101.1
102.3
150.8
102.2
120.0
81.8
94.4
103.1
(農村整備)
8.農道整備
9.農業集落排水
10.農村総合整備
11.農村振興
  うち農村振興総合整備
12.中山間総合整備
13.その他
330223
86267
113680
26203
24641
13503
66045
13387
293672
81091
79260
24913
28747
20786
63057
16604
88.9
94.0
69.7
95.1
116.7
153.9
95.5
124.0
  (農地等保全管理)
14.防災保全
  (1)直轄地すべり
  (2)国営総合農地防災
  (3)農地防災
  (4)農地保全
  (5)農村環境保全対策
15.土地改良施設管理
16.その他
113594
95079
5980
32349
35365
12145
9240
14221
4294
115932
97504
6000
35485
35257
11540
9222
14050
4378
102.1
102.6
100.3
109.7
99.7
95.0
99.8
98.8
102.0
注:百万円単位に四捨五入のため、計が合わない場合がある

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地域とともに歩む「水土里ネット」に期待する
農林水産大臣 大島 理森
 農業農村整備事業は、人の「いのち」を支える「食」の基盤である大地を確保し、日本の国土の大宗を占める森林や農地を通じて、水や物質の「循環」を促すとともに、豊かな自然環境と「共生」しながら、国民の財産ともいうべき、美しいふるさとづくりを担うものであり、これを支える土地改良区の役割には、誠に重要なものがあります。
 特に、最近、農業・農村は、国民に安全で安心できる食料を安定供給する役割に加え、自然環境の保全・形成、安らぎの場の提供、ふるさとの文化の伝承等の多面的機能の発揮が求められており、まさに土地改良区が地域とともに歩む組織として、そうした役割の発揮に向けた活動を展開していくことが重要となっております。
 こうした中、今般、「21世紀土地改良区創造運動」を象徴するものとして、土地改良区の愛称が「水土里(みどり)ネット」に決定され、発表されました。これは、土地改良区が「食」と「農」、そして美しい農村の礎を担い、今後、人・物・情報が行き交う都市と農村の共生・対流、循環型社会の構築等を推進していく役割やその重要性を広く国民にアピールし、農業農村の整備に対する共感や協力を得ていく上で、真に時宜を得たものであります。このような活動は、農業者の組織する団体と地域住民が一体となって国民の生存の前提となる基盤づくりに取り組み、これを将来にわたり守っていこうとする潮流の第一歩ともなるものと考えております。
 農林水産省では、食料・農業・農村基本法とそれに対応した土地改良法の改正、「「食」と「農」の再生プラン」等を踏まえ、消費者の視点に立ち、環境に一層配慮した施策を推進するとともに、「食」の安全と安心の確保、国民の皆様に理解される開かれた農政の推進に全力で取り組んでいるところです。「水土里(みどり)ネット」により展開される様々な活動が多くの国民の共感を呼び、農業農村の整備のみならず農政の推進にも大きな力となることを望むものであります。
 当省といたしましても「水土里(みどり)ネット」の様々な活動に対し、大いに期待をいたしているところであり、都道府県等とも連携し、積極的に応援をしてまいりたいと考えております。
 関係の皆様におかれましては、「食」と「農」の基盤を支え、そして美しい心やすらぐ国民のふるさとづくりや国土づくりに貢献しているという自信と誇りを新たにされ、「水土里(みどり)ネット」の活動を積極的に展開されますことを強く願うものであります。

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新しいステージ「水土里ネット」宣言
全国水土里ネット会長 梶木 又三
 土地改良区は、悠久の時を越え、その先人達の英知と努力の積み重ねによって、人間の生存に欠かせない食料生産の基礎である水と土を担うことを通じて、国民共有の財産である農村を守ってきました。時代が変わり、社会経済の新たな枠組みの構築が進められる中にあっても、この根本的ともいえる土地改良区の使命は揺るぐことはありません。
 戦後の高度経済成長により、我が国は世界に冠たる経済大国を築きあげました。しかしながら一方で、その経済発展を支えた市場経営の過度の拡大は、大量生産、大量消費の社会を生み出すと同時に、農業の工業化と農村の都市化を推し進め、人々に多様な価値観をもたらすと同時に、農村集落においては、「共同」を基礎とした地域共同体コミュニティーの脆弱化を招くこととなりました。
 そして、バブルの崩壊とそれ以降の景気の低迷に代表されるように、我が国の高度経済成長を支えてきた経済効率主義と都市重視の政策は限界を露呈し、社会不安のもととなる様々な現象が表れるなかで、人々は、今まさに多様な価値観の根底にある普遍性、すなわち「生存のための哲学」があることに気付きはじめたのではないでしょうか。そして、その哲学こそが、「食」と「農」、そして「環境」を守ることに他なりません。
 しかしながら、農業の低迷や組合員の減少などにより、食料生産の基盤であり、国民の心のふるさと・憩いの空間でもある農業農村を、農家や土地改良区だけで守り続けていくことは困難な状況にあります。こうした土地改良区の負担を軽減するためには、国民共有の財産である美しい農村を、国民全体で守り育てていくというコンセンサスと仕組みをつくることが喫緊の課題であります。
 21世紀土地改良区創造運動は、土地改良区の果たしてきた役割を関係者自らが自己確認し再評価するとともに、広く国民に向けてアピールしながら、食料の生産基盤の確立、農村と都市との共生対流の促進、循環型社会の構築などを目標に、国民全体の支持と協力のもと、我が国の「農業農村」、「環境」を守ってゆくことを目指す運動であります。
 そして、創造運動の一環として、全国の土地改良区をはじめとした関係者の総意によって決定した愛称「水土里(みどり)ネット」を、新しいステージを目指す土地改良区の姿として高らかに宣言するとともに、自信と誇りをもって「水土里(みどり)ネット」の役割を国民にアピールしていこうではありませんか。
 全国の水土里(みどり)ネットが、「食」と「農」の基盤を支え、「農村」を守るための実践活動に地域と一緒になって積極果敢に取り組む姿勢こそが、国民の共感を呼び、真に豊かな国を創造する道標となるのです。

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土地改良区の農業振興活動を考える研究会
 全国水土里ネット(全土連)では、「土地改良区の農業振興活動を考える研究会」の初会合を、本年1月17日に太田信介農林水産省農村振興局長他多数の担当官の出席を得て行った。同研究会の趣旨は、今後、土地改良区が水土里ネットの名に相応しい団体として地域農業への期待に応えるとともに、自身の活動、運営基盤の強化にも資するため、従来の活動領域を広げる視点も含めて、農業の振興に向けた新たな活動分野にどのように関与すべきかについて検討を行うとしている。
 本年度は、3回の会合を予定しており、新たな業務の取り組みに対する土地改良区の意向を踏まえて、全国の取組事例をもとにした要因分析等を行い、土地改良区の農業振興活動への関与の在り方と課題を報告するとのことである。
 来年度は、本年度の検討結果をもとに、土地改良区の農業振興活動への関与の在り方と課題に対する対応策等について、一定の方向性を整理することを念頭におき、より具体的な検討を行うとしており、成果が期待される。
 同研究会のメンバーは、次のとおり。

                  (敬称略)

佐 藤 洋 平 東京大学大学院農学生命科学科教授
        (農業工学)
後 藤 光 蔵 武蔵大学経済学部教授(生産)
黒 橋 寿 新 千葉青果株式会社専務取締役(流通)
香 取 鐵 也 全国指導農業士連絡協議会長(普及)
中 須 勇 雄 財団法人畜産環境整備機構理事長   
        (法律)
大 柴 邦 昭 山梨県明野村長(行政の長)
中 園 良 行 日本農業法人化協会常務理事
        (法人化)
福 島 修 一 福島県立農業短期大学臨時講師
        (水田農家)
岡 本 芳 明 清原南部明るいむらづくり推進会議会長
          (畑作農家)
小 幡   晋 群馬用水土地改良区事務局長
        (土地改良区)
井 尻 吉 門 鹿児島県土地改良事業団体連合会顧問
         (土地連)
佐 藤 洋 一 秋田県土地改良事業団体連合会専務理事
          (土地連)
室 谷 和 雄 和歌山県土地改良事業団体連合会 
        常務理事(土地連)

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シンポジウム「とちぎの美しい 水 と 土 と 里 を次世代に!」
〜土地改良区に求められる新たな役割とは〜
 シンポジウム「とちぎの美しい水と土と里を次世代に!〜土地改良区に求められる新たな役割とは〜」は、1月22日午後1時から、栃木県土地改良会館において、一般人や関係者等約200人が参加して開催された。
 主催は、栃木県21世紀土地改良区創造運動推進本部、鬼怒中央地区管理体制整備推進協議会、鬼怒川中部地区管理体制整備推進協議会、那須野ケ原地区管理体制整備推進協議会、塩那台地地区管理体制整備推進協議会で、開催の趣旨は、「農業水利施設は、農業生産面での役割だけでなく、水資源の涵養や洪水防止等の多面的機能を有しており、これらの施設の大部分は、農家の人達で組織された土地改良区が管理しているが、集落機能の低下や高齢化、農産物価格の低迷による農家所得の減少等、社会経済情勢の変化により、その管理体制が脆弱化している。一方、近年の都市化・混住化の進展に伴い、農業水利施設の有する多面的機能を享受している非農家が増加し、その発揮に対する要請が高まるとともに、住民意識の変化に対応し、環境との調和への配慮や安全管理の強化等、より複雑かつ高度な管理が必要となってきている。このような現状を踏まえ、土地改良区が果たしてきた役割、機能を改めて見直すとともに、多面的機能の発揮等住民が期待する新たな役割に対し、どのように土地改良区が取り組んでいくか、地域の人達と将来の望ましい土地改良区の在り方、地域づくりについて考える。」としている。
 オープニングでは、主催者を代表して小坂利雄21創造運動推進本部長が「土地改良区が果たしてきた役割、機能を改めて見直すとともに、今後、どのように土地改良区が取り組んでいくのか、将来の望ましい土地改良区の在り方や地域との係わりについて、地域の人達とみんなで考えて行こう。」と述べられた。
 基調講演では、(株)オルタナテイブコミュニケーションズ副社長の金子照美氏が「真の水土里ネットを目指して」と題して講演され、「既に、農家や地域にとって生き残りをかけた地域間競争の時代に突入している。土地改良区もこれまでの役割を果たしているだけでは、時代に取り残され、種々の問題が発生して自滅の道をたどることになる。そこで、土地改良区の持つ潜在能力を見極め、情報ネットワークを最大限に活用して積極的に新たな役割を担っていくことが、土地改良区の繁栄につながっていく。」などと述べられた。
 次のパネルディスカッションでは、NPO未来につなごう鬼怒川・小貝川の会理事の増渕昭氏、清原南部明るいむらづくり推進会議会長の岡本芳明氏、塩那台地土地改良区理事の柳沢秀一氏、那須野ケ原土地改良区連合事務局長の星野恵美子氏、金子照美氏の五氏をパネリストに、宇都宮大学農学部農業環境工学科教授の後藤章氏がコーディネーターとして、テーマについての意見を交わした。
 「農業生産活動と豊かな自然の保全を両立すべき」、「農産物の加工販売など農村地域の活性化は、農業農村と都市住民との交流によって図ることができる」、「自然の中での農業生産活動に誇りと生きがいを持つためにも、都市住民との交流が不可欠」、「農業生産活動を支えるだけでなく、地域づくりなどの多様な役割が土地改良区に求められている」などと意見交換。土地改良区の存続のためには、地域の活性化と農家の繁栄が不可欠であり、そのために土地改良区は何ができるか、それぞれが考え行動することが重要とまとめられた。


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農業農村整備技術強化対策研修会を開催
 平成14年度農業農村整備技術強化対策等事業研修会は、県、市町村、土地改良区、連合会等の職員を対象に農業農村整備事業に係る知識、技能を修得させるための研修会として、毎年度本会が主催しているが、本年度は、土地改良法の改正に伴い、環境との調和への配慮をメインテーマにして、栃木県土地改良会館において、去る1月21日、県、市町村、土地改良区、連合会等の職員152名が出席して、下記のカリキュラムのとおり開催した。
 また、受講者に対するアンケート調査の結果、今後取り上げて欲しい研修課題等では、自然環境に配慮した区画整理や道水路整備の実例・現地研修、工事費積算、改良区発注事業の適正価格の判断と工事検査基準等、事業メニユーの具体的な説明、未同意者の解決事例、団体営土地改良事業の事務手続等、施設台帳作成の事例研修などの要望が寄せられ、今後の研修科目の設定の参考になった。

研修カリキュラム           (敬称略)

「農業農村整備事業の概要」
   栃木県農務部農地計画課
         総括課長補佐  小 川 正 順
「環境との調和への配慮の取組について」
   栃木県農務部農地計画課調査計画担当
          主  査  藤 沼 良 彰

「会計検査指摘に対する設計上の留意点について」
   関東農政局土地改良技術事務所建設技術課
          課  長  青 山 録 市

「生態系保全型の水田整備について」
   栃木県農務部農村振興室環境整備担当
          室長補佐  北 原 茂 夫
          主  任  松 山 健 一

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「新たな土地改良長期計画の策定のあり方について」
(中間とりまとめ)に関する意見・情報の募集のお願い
1.意見・情報の募集の趣旨
  この度、「新たな土地改良長期計画の策定のあり方について」(中間のとりまとめ)について、広く国民等から意見・情報を募集いたします。
  今後、本案について提出いただいた意見・情報については、最終とりまとめの参考にさせていただくこととしております。

2.「新たな土地改良長期計画策定のあり方について」
 (中間とりまとめ)について
● 第4次土地改良長期計画が策定されて10年が経過した現在、これからの農業農村整備事業については、農業農村をめぐる情勢の変化、「食料・農業・農村基本法」、「同基本計画」の制定及び「土地改良法」の改正等に対応したものにする必要があり、その実施方向と計画的な実施の指針となる、新たな土地改良長期計画を策定する必要があります。
● この中間のとりまとめは、新たな土地改良長期計画を策定するにあたり、今後講じていく施策の基本的考え方はどうあるべきか、施策の目指すべき成果目標は何であるのか等、新たな土地改良長期計画のあり方について、平成14年4月以来、食料・農業・農村政策審議会農村振興部会農業農村整備部会企画小委員会において検討されてきた結果についてまとめたものです。
● この中間とりまとめの中で、農業農村整備事業に関する実施の基本的考え方については、「新たな土地改良長期計画では、消費者・国民に対するサービスの提供との視点(「いのち」、「循環」、「共生」の視点)から、農業農村整備事業の各施策を捉え、総合的かつ重点的に実施することによって、目指すべき成果の達成を図るという考えが重要である」としています。
● なお、施策の目指すべき成果については、「意欲ある農業経営体の育成支援」、「安定的な用水供給機能等の確保」、「個性ある美しいむらづくり」などの7つの観点で整理しており、施策の実施に当たってはこの観点より効果的かつ重点的になされる必要があるとしています。
● 今後、この中間とりまとめを基本に最終とりまとめを行い、それを基に新たな土地改良長期計画を作成していきます。

3.意見・情報の提出方法
(1)郵便 〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1
  農林水産省農村振興局土地改良企画課調査計画班担当あて
(2)ファクシミリ 03-3501-4950
(3)電子メール 農林水産省のホームページ
 〈http://www.maff.go.jp/www/public/seisaku.html〉
  より提出

4.意見・情報の提出上の注意
 提出の意見・情報は、日本語に限ります。また、個人は住所・氏名・性別・年齢・職業を、法人は法人名・所在地を記載して下さい。これらは、公表する場合もありますので、ご了承願います(公表の際に匿名を希望される場合は、意見提出時にその旨をお書き添え下さい)。
 なお、電話での意見・情報はお受けしませんので御了承願います。

5.意見・情報の提出の締切日
  平成15年3月13日(木)(郵便の場合は消印有効)

6.その他(参考資料)
●「新たな土地改良長期計画の策定のあり方について」(中間とりまとめ説明参考資料)

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大塚宿前地区の竣工式
 このほど、県営圃場整備事業大塚宿前地区が竣工の
運びとなり、宿前土地改良区は、昨年11月22日、現地での記念碑除幕式と祝賀会を挙行した。
 式典には、栃木県知事代理の農務部下都賀農業振興事務所次長下山倶資、鈴木乙一郎栃木市長他多数の来賓と柏崎勝宿前土地改良区理事長はじめ多くの役員が出席し、盛大に挙行された。

◆事業の概要◆
 事 業 名 県営圃場整備事業大塚宿前地区
 地区面積 36ha
 総事業費 4億7000万円
 工  期 平成元年度〜平成13年度
 組合員数 88名


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山前中部地区の竣工式
 このほど、県営圃場整備事業山前中部地区が竣工の
運びとなり、山前中部土地改良区は、去る1月20日、現地での記念碑除幕式と祝賀会を挙行した。
 式典には、栃木県知事代理の横倉光昭農務部参事兼
芳賀農業振興事務所長、福田武隼真岡市長他多数の来
賓と細谷勝一山前中部土地改良区理事長はじめ多くの
役員が出席し、盛大に挙行された。

◆事業の概要◆
 事 業 名 県営圃場整備事業山前中部地区
 地区面積 445ha
 総事業費 42億2200万円
 工  期 平成元年度〜平成13年度
 組合員数 711名


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平成15年1月主要行事報告
行  事
6本会仕事始め式
16財団法人農業土木学会第35回中央研修会−21世紀の農村の展望−
16〜17農地流動化支援水利用調整事業関東ブロック情報連絡会議
17県営圃場整備事業芳賀町北部地区起工式
17産業廃棄物の有効利用とコンポスト化技術講演会
20農業農村整備事業品質確保・向上対策事業地方研修会
20県営圃場整備事業七井西部1期、2期地区起工式
20県営圃場整備事業山前中部地区竣工式
21農業農村整備技術強化対策事業一般研修会
22シンポジウム「とちぎの美しい水と土と里を次世代に」
24田園空間博物館シンポジウム
27土地改良事業団体連合会におけるGIS活用方策研修会
28栃木県圃場整備事業連絡協議会研修会
29財団法人日本建築学会関東支部基礎構造の設計講習会
31本会第4回監事会(平成14年度中間監査)
31農村環境整備センター研究成果発表会

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表紙写真説明

表紙の写真『あぜ道の恐怖』

○作 者
 氏家町立熟田小学校 6年
 高 橋   嶺 さん

○コ メ ン ト
 「ふるさとの田んぼと水」子ども絵画展2002でふるさと水と土大賞に輝いた作品です。  審査員の評価は、「見ていて、思わず笑みがこぼれてしまう愉快な絵だ。ヘビに食べられそうなカエルやトンボが描かれているが、田んぼには、実際にこうした環境があり、田舎道ではよくある光景だ。確かに、これほどたくさんのカエルがいる訳でも、列を組んで 逃げて行くこともないが、このような恐怖には遭遇する。それをここまでユーモラスに生き物を擬人化し、『あぜ道の恐怖』として作品化したところが素晴らしい。田んぼの生き物の世界を自分の日常の感覚に似せて描いたところにアイデアがあった。これは、映画の『千と千尋の神隠し』の世界と通ずるものがあり、なかなかユニークな才能である。期待したい。」ということです。
 

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