『水土里ネットとちぎ』は本会の愛称です

『5月の空』
−主な内容−

就任御挨拶

平成15年度第1回理事会・監事会を開催

中央推進協議会平成15年度第1回役員会を開催

春の叙勲

物井土地改良区が農林水産大臣表彰


先導的換地技術者を表彰

WTO農業交渉で「わが国のコメ」を守るために

平成15年4月主要行事報告

表紙写真説明



就任御挨拶

水土里ネットとちぎ
(栃木県土地改良事業団体連合会)
会長  福 田 昭 夫
 風薫る爽やかな季節となりましたが、会員の皆様におかれましては、益々御清祥のこととお慶び申し上げます。
 私こと、去る3月26日に開催されました第70回通常総会におきまして、任期満了による役員の改選に伴い、水土里ネットとちぎ理事に選任され、その後の理事会で会長に互選されて就任いたしました。身に余る光栄に存じますとともに、その責任の重大さを痛感いたしております。
 もとより私は、栃木県知事として会員皆様とともに本県農業農村整備事業の推進に努めて参りましたが、今後は、より一層身近にあって皆様の意を体して本県農業・農村の振興発展に努めて参りたいと存じておりますので、何卒よろしく倍旧の御支援お願い申し上げます。
 さて、私は、これまで、県政に新風を吹き込み、21世紀にふさわしい県民参加による自主性の高い県政経営を確立すべく、総合計画「とちぎ21世紀プラン」を策定し、積極的にその推進を図るとともに、本県独自の行政評価手法「とちぎ政策マネジメントシステム」の導入や行政改革大綱に基づく不断の行政改革などを進めて参りました。
 特に、昨年度は、県民の皆様と共に大地にしっかりと足をつけ、力を合わせて明るい未来を切り拓いていくためには、何よりも確固とした理念が必要であると確信し、自立と自助、そして互助による幸福の追求である「分度推譲立県」を新たに打ち出しました。お蔭様で、多くの県民の皆様の御理解を賜り、確かな手応えを感じることができました。
 また、かねてから策定作業を進めて参りました県政の中長期ビジョン「とちぎ将来構想」を取りまとめました。この構想では、本県の持続的な発展に向けた道筋をしっかりと示すことで、県民の皆様に夢と希望を持っていただけるよう、「分度推譲」を基本理念として、次代の担い手を育む教育や人づくり、人類の生存基盤である自然や環境との共生、生活を支える源となる医療や福祉を含めた産業の活性化など、21世紀の栃木県づくり、更には国づくりの方向性を明らかにし、新たな政策づくりにつなげて参る考えであります。
 更には、IT革命への対応や経済・雇用対策、良好な子育てづくり、青少年の健全育成など、当面する課題にも的確に対応しながら、「とちぎ21世紀プラン」に掲げた目標の達成に向け、諸施策を着実に推進して参る所存であります。
 農業・農村の振興についても、首都圏に位置する地理的優位性を最大限に活かした「魅力ある首都圏農業の確立」を目指し、21世紀における農業の生産性向上や持続的な展開を図るため「食と農を支える基盤づくり」に積極的に取り組んで参る考えであります。
 昨年4月に施行されました改正土地改良法におきましては、事業実施に当たっての「環境との調和への配慮」や「地域住民や市町村との連携」などが謳われました。また、土地改良区の愛称も21世紀に相応しい「水土里ネット」に決定いたしました。これらのことは、これからの土地改良区が、その役割を充分に果たすための新たな方策を示すものでありますので、このような社会的な期待に充分に応えられるよう、本会といたしましても、21世紀土地改良区創造運動などを通じて、土地改良区の体制強化に積極的に取り組んで参ります。
 これまで、本会の運営に御協力を賜りました会員をはじめ関係機関の皆様に心から感謝申し上げますとともに、今後とも皆様の御指導と御理解をお願い申し上げ、会長就任に当たっての御挨拶といたします。

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平成15年度第1回理事会・監事会を開催
会  長に 福 田 昭 夫 氏
代表監事に 千 保 一 夫 氏


 本会の平成15年度第1回理事会は、去る4月7日に開催し、会長及び副会長並びに常任理事の互選等を行った。その結果、員外理事の福田昭夫氏(栃木県知事)が会長に選任されて同日就任した。また、後藤伊位氏(川西土地改良区理事長)と大久保寿夫氏(小山市長)は副会長に、沼部和弘氏(員外)は常任理事に留任が決定した。また、前会長の渡辺文雄氏を顧問に推戴することに決定した。
 一方、同日開催された平成15年度第1回監事会において、代表監事の互選が行われ、千保一夫氏(大田原市長)が選任され就任した。


福田昭夫氏の略歴
平成3年から平成12年まで今市市長。平成9年から平成12年まで本会理事。平成12年から栃木県知事を務める。

千保一夫氏の略歴
平成2年から大田原市長。平成3年から平成6年まで本会代表監事。平成6年から本年まで本会理事を務める。平成12年から大田原市土地改良区理事長。

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中央推進協議会平成15年度第1回役員会を開催
 栃木県土地改良事業推進協議会(中央推進協議会)
の平成15年度第1回役員会は、去る4月7日に開催され、任期満了に伴う会長及び副会長の互選等を行った。その結果、会長の小坂利雄氏と副会長の永島明氏は留任し、欠員となっていたもう一人の副会長に加藤昌男氏が選任され就任した。

中央推進協議会の役員 (敬称略)
会 長  小 坂 利 雄
     (芳賀郡市土地改良区協議会長)
副会長  永 島   明
     (下都賀地方土地改良事業推進協議会長)
副会長  加 藤 昌 男
     (北那須土地改良事業推進協議会長)
理 事  福 田 龍 雄
     (栃木県河宇土地改良協議会長)
理 事  石 田 守 男
     (上都賀土地改良事業推進協議会長)
理 事  印 南 隆 三
     (塩谷地方土地改良事業推進協議会長)
理 事  渡 辺 良 治
     (南那須地域土地改良事業推進協議会長)
理 事  寺 嶋 勝 豊
     (安足土地改良事業推進協議会長)
理 事  沼 部 和 弘
     (水土里ネットとちぎ専務理事)
監 事  上 田 憲 一
     (水土里ネットとちぎ監事)
監 事  鈴 木 弘 之
     (水土里ネットとちぎ参事)


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春 の 叙 勲
 政府は、4月29日付けで平成15年春の叙勲の受章者を発表した。
 総数は、4598人。うち県内在住者は、65人が受章した。土地改良関係では、吉澤章本会元理事が勲4等瑞宝章、岩崎義一元理事が勲5等双光旭日章、永島明本会理事が勲6等単光旭日章に輝いた。



勲4等瑞宝章(地方自治功労)  
吉 澤   章(70歳)


県立矢板高校卒業。塩谷郡氏家町大字氏家在住。
昭和25年に氏家町に奉職、農政課長等を経て、昭和57年から同町長を連続4期。途中、栃木県町村会長、全国町村会理事等を歴任。昭和61年から平成10年まで本会理事を務める。


勲5等双光旭日章(地方自治功労)
岩 崎 義 一(71歳)


福島大学中退。那須郡烏山町中央在住。烏山町総務課長、助役を経て、平成2年から同町長を3期務めた。その間、南那須地区広域行政事務組合長、栃木県町村会長を歴任。平成6年から平成9年まで本会理事を務める。
勲6等単光旭日章(土地改良事業功労)
永 島   明(77歳)


拓殖専門学校農学校卒業。
下都賀郡岩舟町在住。昭和44年から岩舟町議会議員、昭和54年には議長を務める。平成7年に農業振興功労で栃木県知事表彰、平成12年に都市緑化功労で建設大臣表彰。平成4年から大岩藤土地改良区理事長。平成6年から下都賀地方土地改良事業推進協議会会長、平成11年からは栃木県土地改良事業推進協議会副会長を務める。平成12年から本会理事に就任している。


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物井土地改良区が農林水産大臣表彰
農用地等集団化優良事業地区表彰

 関東農地集団化推進協議会は、去る4月24日、埼玉県さいたま市において、第50回通常総会と農用地等集団化優良事業地区表彰式を開催した。
 総会は、清水重由関東農政局土地改良管理課長等を来賓に迎え、平成14年度事業報告・収支決算、平成15年度事業計画・収支予算等を審議し、原案どおり可決承認した。
 続いて挙行された農地集団化優良事業地区表彰式では、松本政嗣関東農政局次長及び小柏儀一会長が式辞を述べられ、松本局次長から農林水産大臣賞及び関東農政局長賞が、また、小柏会長から全国農地集団化協議会長賞及び関東農地集団化推進協議会永年勤続者表彰状が伝達された。
 最高位の農林水産大臣表彰に輝いた本県二宮町の保坂國雄物井土地改良区理事長が謝辞を述べられた。
 なお、本県では、次のとおり受賞した。

農林水産大臣表彰
 物井土地改良区

関東農地集団化推進協議会長表彰
 塩谷南部土地改良区職員
 鈴 木 文 子 氏

物井土地改良区の概要
 事業種別 県営圃場整備事業
 地区面積 230.5ha
 集 落 数 5集落
 農家戸数 260戸
 団 地 数 前4.1団地 後1.9団地/1戸当たり
 団地面積 前19.7ha  後42.0/1団地当たり
 集団化率 69.9%

成  果
(1)地域の圃場整備の先進的取り組みと して重要な役割を果たした。
(2)農地所有者全員の共同減歩の取り組みで事業が実現している。また、町や県が非農用地区域を購入し、積極的に活用することで地域を支援している。
(3)施設イチゴと稲作や転作作物など、認定農業者等の規模拡大を実現し、地域の農業構造改革に大きく寄与している。



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先導的換地技術者を表彰
土地改良換地対策全国協議会
換地センター全国代表者会議


 全国土地改良事業団体連合会主催の平成15年度土地改良換地対策全国協議会総会は、4月23日、東京都千代田区平河町において開催され、第5回先導的換地技術者表彰、平成15年度取組方針案の審議を行った。
 総会は、武藤嘉文協議会長が挨拶し、換地技術者の模範となる取り組みを行い全国の土連から推薦された31名(本県の受賞者は後記のとおり)の方々が表彰され、受賞者を代表して大阪府の岡崎貴子氏が謝辞を述べられた。
 来賓挨拶では、佐藤昭郎参議院議員が挨拶し、出席した本省農村振興局の永杉伸彦土地改良企画課長、齋藤晴美設計課長等が、換地関係予算、新たな土地改良長期計画、経営体育成基盤整備推進室の設置等の情勢報告等を行った。
 総会に続いて平成15年度換地センター全国代表者会議が開催され、平成15年度農用地集団化関係予算及び換地をめぐる情勢等を審議。先導的換地技術者を代表して、福島県の猪苗代町土地改良区事務局長の高橋二三雄氏が「農業公社の集合事業を活用した効果的な農用地利用集積」、徳島県土地改良事業団体連合会換地課の栗栖優氏「農地連坦化への取り組み」について事例発表を行った。

◎先導的換地技術者表彰
 藤 野 芳 孝 氏(本会換地一課課長補佐)

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WTO農業交渉で「わが国のコメ」を守るために
本会監事・鬼怒川中部土地改良区事務局長
上 田 憲 一
はじめに
 WTO(世界貿易機関) が、貿易の自由化を促進するため行なうラウンドで先行した農業分野の関税設定等に関する交渉が難航していると報じられています。
 近年、農業に対する国民の関心が低くなっていることもあって、今回の農業交渉は非常に重要な局面にあるにもかかわらず、マスコミ等で取り上げることが少ないのがこの頃です。
 性急にしかも大幅な関税率の引き下げ(自由化)を求めるアメリカやオ−ストラリア等ケアンズグループの輸出国と緩やかな市場開放を主張する日本や欧州連合(EU) 等コメ等穀物の貿易交渉の溝が埋まらないからです。

農業交渉に関する疑問
 コメ等の穀物含めて農産物全てにわたる貿易自由化の促進を前提とする農業交渉そのものが適当なのか、疑問があります。広大な農地を必要とするコメ等穀物農業は、必ずしも広大な土地を要しない工業生産とは本質的に異なる産業だからです。
 農業つまり、農産物は本来、歴史や地勢・気象等国土の基本的なグランドが異なる国家間で、関税等の制約なしに自由に交易できる産業・生産物ではないと思うからです。
 とりわけ、既に消費量の7.2%にもなるミニマムアクセス(最低輸入義務)を受け入れている日本にとって、「コメの交渉」つまり、「大幅な関税率の引き下げ交渉」の成否は、農家・村落・農村の存続、ひいては日本の食糧需給の問題にも係わる重大な問題におよびますので絶対に譲ることのできない交渉であります。
 農産物の貿易自由化を勧める国々・グループに、コメ等の自由化を断念させるには、相手にとって理解しやすい理屈が必要です。
その一つに、農業は太陽・土地・そして水の恵みと人の営みとでなされるその国固有の産業で、特に、土地(農地)広狭が支配的な要件となる産業であること。
その二つに、世界の安定的な食糧供給の視点から優良な農地は保全する必要があること。等があります。

両陣営の農業環境の違い
 わが国や中国等東南アジアの国々、イギリス等ヨーロッパ諸国等歴史の古い国々とアメリカやオ−ストラリア等新開発の国との間には、農業の生産手段たる農地の所有規模に本質的とも言える違いがあります。
 コメを始め土地利用型農産物の価格は、特に、土地の広さやかんがい用水の有無等立地条件に由来するところが大きいからです。
 日本等歴史の古い国は、可住面積(農業生産が可能な土地)に比して人口が多いので、農村は過密で、耕作規模は狭く、形状が小さい等生産条件の悪い中で農業経営を強いられることになりますが、新しく・広いが故に国境は勿論、州境等の行政境が経・緯度を基本とする東西の直線で境されているアメリカ等新開発国の農作物は、マイル(約1.6km)を単位とする桁違いに広大な農地(区画)で作られています。
 WTOの交渉が、桁違いの農業を営むアメリカ等歴史の新しい国主導で、コメ等の土地利用型農産物の自由な競争を求めるのは、労働生産性に大きな差異があることから、始めから価格において無理があります。
 私は、昨年、バスの車窓から農村等の風景を見たく「アメリカ東海岸地域を周遊するバスツアー」と「中国三峡クルーズのツアー」に参加しました。
前者は、バスでニューヨークを発ってフィラデルフィアとワシントンD.Cを観光し、アパラチア山脈を越えてナイヤガラ滝へ行き、ニューヨークへ戻る行程約2,000kmを周遊するツアーでした。
 旅の期待の一つに、ニューヨークからワシントンD.Cまで、アメリカで最も早くから移住が進んだ先進の地域を結ぶフリーウエー〈高速道路〉約350kmのドライブがありました。
 農村の景観をカメラに収めようとチャンスを待ったのですが、大型のバスがニューヨーク周辺の市街地を抜けると、フリーウエーの両側は街路樹ではなく、原生林と見られる高さ30mにも及ぶ連続する楢の樹林帯で覆われていました。途中立ち寄ったフィラデルフィアの市街部以外ワシントンD.Cまで、ついぞ農地や農村の風景を垣間見ることさえできず、カメラのシャッターを落せなかったのです。
 一方、後者の旅は、中国が国を挙げて長江(揚子江)に建設する113万人が水没者となる貯水量400億トン弱の巨大な三峡ダムの建設風景とそれによって水没する絶景・三峡等長江をクルーズし、次いで、長江が造り、かんがい用水を供給する広大な穀倉地帯の一部に当たる宜昌から武漢まで約300km(湖北省)を走るハイウエーの旅でありました。
 中国の穀倉地帯は、アメリカの東海岸と一変して、市街地部を抜けると同時に、ハイウエーは遮るものがなく、平坦な湖北平野は、豊とは思えない農家と耕運機や水牛を耕作の手段とする小さな区画の水田、点在する養魚池、穀物畑、綿花畑が延々と限りなく広がり、終始農村の全容を見せていました。勿論、原生林などの未利用の山林を見つけることすらはできませんでした。

アメリカの農業基盤
 私は、以前、アメリカの大西部にあってミシシッピ−川沿いの穀倉地域・アーカンソー州のコメ作りと農業生産でもアメリカで屈指のカリフォルニア州の農業地域を北方のサクラメントバレーからセントラルバレーを経て南部のロスアンゼルスまで農業の状況を視察することができました。
 広大で新開地の故、穀倉地域の農地は大区画で、そこで展開されている穀物栽培の農業は1,000haを超える大農場での巨大なトラクターや林立するカントリーエレベーターによる経営でした。
 カリフォルニア州の南部にあたる穀倉のセントラルバレーは半砂漠で、州都サクラメントの北方からダムで開発したかんがい用水がポンプと開水路で送られるのですが、広大な農地を潤すには足りず恒常的な水不足地域で、水利会社に水利権を持たない農地は地下水を取水してかんがいをしています。そのため、地下水位は年々下がり、今日では−200mをこえるため過剰取水が問題になっているのです。
 カルフォルニア州は、北部サクラメント川の上流に造られたシャスターダム等30億トンを超える巨大なダムの建設で水資源が開発され尽くしたことから、既に農業用水(水田)から需要が増大するロスアンゼルス等の都市用水へ転換が進んでいるので、水の消費量の多いコメ農業に将来とも大きな期待を持つことはできないはずです。
 アーカンソー州の水田地域でも、かんがいの水利施設が整備させていない地域にあって、カルフォルニア州と同様、地下水にたよる結果、−200mを越える井戸の深掘り競争が進んでいるのです。

歴史の古い国・日本の優良農地
 わが国等歴史の古い国々、中でも降水量が多く水に恵まれた国にとって、コメ農業は土地の生産性が高いので多くの人々を養ってきました。
 国土を縦走して連なる山脈が供給する豊なかんがい用水を基に営まれてきたわが国のコメ作りは、近年農地や経営の集積を進めてきたため、今日では10haを越す水田経営農家が珍しくなくなってきましたが、つい10年前までは農地の貴重さを骨身に感じながら、平均1haに満たない水田経営を基本に村落を形成してきました。
 世界の人口は年々増えて60億人を越えていますが、一方では、乾燥による砂漠化や塩類の蓄積等が進行していますので、食糧供給の確保が課題となっています。
 水田は水資源が豊な地域に発達する農業であり、水に恵まれた水田地域はコメ以外の農業生産にとっても優良で貴重な農地です。
 それにもかかわらず、貿易自由化を推し進めることによって、労働生産性は低いが本質的に優良で貴重なわが国の1億3千万人を養っている水田等農地を世界の食糧生産の場から葬りさるとすれば、わが国の食糧ばかりでなく10億人ともされる食糧不足者を抱える地球を冒涜するに等しく、許されるべきでありません。

世界の食糧確保のため優良農地の保全を
 わが国の水田農業は、農業者が土地改良区を組織して、ある地域ではダムを造り、多くは河川に設ける堰(頭首工)や揚水ポンプから始まる幹線用水路、そして、分水施設を経て一枚一枚の水田を結ぶ水路網・排水路網を整備し、維持管理をして守ってきたのであります。
 貿易自由化の圧力によって、土地改良区を構成する水田農家が少しづつ脱落すれば、早晩しかも一気に、地域の水田農家が、水田の経営技術者が、農業機械が、そして村落が、地域をささえる土地改良区が、莫大な投資で整備し管理してきた水路等水田の基盤が、その結果、水田地域が、容易に回復できない荒野となって崩壊するのは必死であります。
 わが国等かんがい用水にも恵まれた優良農地が、自らの願いでなく貿易自由化の名のもとに荒廃させられるのは、同時に世界の食糧供給の基盤を狭めることにもなります。
 それを強いるアメリカ等大規模生産農業国での穀物供給は、増大しつづける世界の人口や食生活の改善に伴って増大する国々の食糧需要量に応えて、将来に亘って安い価格で、安定的に供給する約束をすることができるのだろうか。

おわりに
 コメの貿易自由化を求める新しい国は、唯でさえ、降水が少なく、水資源開発等が限界でかんがい用水の確保が厳しくなるので、極めて困難と見るべきであります。
 それらの国々が、後になって、「安定する食糧の供給はできません」であっては許されません。自由化によって一旦崩壊した水田地域や農村のコメ生産は、容易に回復できないことを銘記しておくべきです。
 特に、コメ等の土地利用型の農業交渉については、農地の広狭が支配的な要件となることとかんがい用水の有無・水資源にも着目して、豊な水資源に恵まれた水田、つまり、優良な農地の保全の立場から、現在、穀物類の生産が一時的に過剰となっている新開国アメリカ等自由化推進グループの理解を得るよう真摯に協議をすることが必要であります。
 私達、農業の基盤を整備し、維持している土地改良区の関係者は、水田・農地そして、コメ作りを熟知しているはずですので、わが国の食糧の確保のみならず世界の食糧確保のためにもおおいに主張することが必要ではないでしょうか。

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平成15年4月主要行事報告
行  事
1本会定期人事異動
7本会第1回理事会
7本会第1回監事会
7栃木県土地改良事業推進協議会第1回役員会
10県農政の基本方針と農務部主要事業に関する説明会
10新たな米政策等に伴う土地改良区の今後の取組みに関する意向把握のための意見交換会
15都道府県土地改良事業団体連合会事務責任者会議
21米政策改革に係る市町村・農協等担当者会議
21北那須土地改良事業推進協議会第29回通常総会
22利根川水系農業水利協議会栃木県支部第6回総会
23土地改良換地対策全国協議会総会
23換地センター全国代表者会議
23日本農業集落排水協会業務実施方針等説明会
23栃木県県民の日実行委員会総会
24益子町土地改良区協議会設立総会
24関東農地集団化協議会総会・農用地等集団化事業優良地区表彰式
25栃木県河宇土地改良協議会総会
30下都賀地方土地改良事業推進協議会通常総会

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表紙写真説明

表紙の写真『5月の空』

○作 者
 清 水 やす子 氏(塩谷郡氏家町在住)

○撮影地 那須郡馬頭町

○コ メ ン ト
 平成14年度「美しいとちぎのむら写真コンテスト」景観保持・文化部門で入選に輝いた作品です。
 五月晴れと言うに相応しい美しい空に、鯉幟が薫風を受けて泳いでいます。「紺碧の空に泳ぐ鯉」という季語がありますが、まさしくそのような印象を与えてくれるすがすがしい写真です。
 

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