『水土里ネットとちぎ』は本会の愛称です

『棚田の夏』
−主な内容−

農業農村整備事業推進懇談会

市町村土地改良担当課長・
土地改良区事務局長等会議


農村の汚水処理推進研修会

江川南部土地改良区生態系調査

水の作文コンクール・入賞作文「水の大切さ」


県内3カ所で段本先生と懇談

生きものたちの棲む農村を目指して

むらの伝統文化顕彰

平成15年8月主要行事報告

表紙写真説明



農業農村整備事業推進懇談会を開催
 本会及び栃木県土地改良事業推進協議会(会長・小坂利雄真岡市中央土地改良区理事長)の共催による農業農村整備事業推進懇談会は、各地方土地改良事業推進協議会及び栃木県各農業振興事務所等関係機関のご協力のもと、去る6月20日の南那須管内を皮切りに7月25日の下都賀管内まで延べ8日間にわたり、市町村及び土地改良区等の役職員約340名の参加を得て開催した。

 会議は、来賓として県から各農業振興事務所農村振興部長をはじめ、担当官及び各地方土地改良事業推進協議会長等を招き、それぞれご挨拶をいただいたほか、各農業振興事務所には、(1)平成15年度農業振興事務所管内の事業の実施についてご講演をいただいた。また、本会からは、(2)今後の農業農村整備事業の推進(事業の新たな展開、農業集落排水事業の推進)、(3)新たな米政策への対応等について本会職員が説明した後、これらを含めて土地改良事業全般及び本会運営に関する意見要望をいただくなど活発に意見交換を行い、有意義な懇談会となった。
 提出いただいた意見要望等の概要については、次のとおり。

◆土地改良区統合整備関係
 合併を進める上での問題の解決方法やメリット・具体的な提案を求める要望、解散後の維持管理等に関する質問が提出された。
◆環境に配慮した事業関係
 環境に配慮した事業実施後の維持管理に関する質問が出された。
◆施設管理関係
 土地改良施設維持管理適正化事業への加入要望、施設の老朽化に伴う整備・改修要望が出された。
◆かんがい排水事業関係
 幹線排水路整備に伴う下流域への影響に関する質問が出された。
◆圃場整備事業関係
 圃場整備事業実施後の圃場の有効利用に関する提案、農業機械の共同利用に関する提案・質問が出された。
◆換地関係
 換地処分事務の促進要望、換地処分登記後の誤謬訂正と市町村界変更に関する質問が出された。
◆新たな米政策関係
 減反を廃止して担い手に補助金を集中する仕組みの提案、産地間競争で生き残れない地域の問題に関する質問が出された。
◆その他
 農業を支援するNPO団体に対する行政の支援に関する質問が出された。

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市町村土地改良担当課長・
土地改良区事務局長等会議を開催
 本会は、去る8月1日、栃木県土地改良会館において平成15年度市町村土地改良担当課長・土地改良区事務局長等会議を開催した。
 会議には、来賓に廣瀬峰生関東農政局整備部次長、野澤章浤栃木県農務部技監、大久保幸雄同農地計画課長、石川永夫同農地整備課長、同各農業振興事務所農村振興部長等を迎え、会員市町村の担当課長並びに土地改良区の事務局長等136名の出席を得て開催した。
 会議は、沼部和弘本会専務理事の開会挨拶に続いて、来賓を代表して野澤技監から挨拶をいただいた後、研修会に入り、初めに「本県の農業農村整備事業について」と題して、野澤技監が「首都圏農業推進計画21に基づく農業農村整備事業の概要」、「土地改良区統合整備の推進状況」などを説明された。
 続いて、「最近の農業・農村をめぐる話題」と題して、廣瀬農政局整備部次長が「農水省及び農政局の組織改編」、「米政策大綱関連施策の進捗状況」、「都市と農村の共生・対流」、「バイオマス・ニッポン」、「土地改良長期計画」、「農業農村整備事業の広報活動」について講演された。
 昼食を挟んで午後に行われた協議では、鈴木弘之本会参事が「本会の概要」を説明した後、沼部専務理事が「平成16年度県農林施策等建議要望事項」について、15年度の建議要望事項とその結果を説明すると共に、16年度等建議要望事項については、各農業振興事務所単位に開催した農業農村整備事業推進懇談会における意見を参考にし、さらには推進協議会等の意見を聞いて、本会に設置している開発整備部会、圃場整備部会、水利防災部会で取りまとめると説明した。なお、引き続き要望していく事項と新たに要望すべき事項の基本的な考え方についても説明した。
 その後、本会に対する意見・要望や質疑応答の時間を設けて閉会した。

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農村の汚水処理推進研修会を開催
 栃木県農村総合整備事業促進協議会は、7月30日、栃木県土地改良会館において、県、市町村、本会職員62名の参加を得て「農村の汚水処理推進に係わる研修会」を開催した。
 研修会は、主催者を代表して本会の沼部和弘専務理事と来賓として出席された野澤章浤栃木県農務部技監が挨拶を述べた後、講義に入り後記のとおり行った。
 この研修会は、全国的に、下水道化構想の見直しにより、合併浄化槽への転換などによる農業集落排水事業の減少傾向が見受けられる中で、統一的な経済比較による適正な比較検討を行った上で、農業集落排水事業の掘り起こしを行い、下水道化の推進を図る必要があることから、開催したものである。
 なお、本会より、集落排水管路施設台帳のサンプルを展示した。

研 修 事 項 (敬称略)
(1)農業集落排水事業の現状について
  栃木県農務部農村振興室主査  野 澤 昇 一
(2)農業集落排水事業の推進について
  栃木県農務部農地計画課主査  藤 沼 良 彰
(3)全県域下水道化構想策定(中間とりまとめ)について
  栃木県農務部農地計画課主査  藤 沼 良 彰

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魚もザリガニもこんなにとれたよ!
〜江川南部土地改良区生態調査〜
 

 江川南部土地改良区(塩谷郡喜連川町)は、21世紀土地改良区創造運動の一環として、去る8月1日(金)に地元金鹿小学校、河戸小学校の児童及び地域住民と共に水田周辺の生態系の調査を行った。
 当地域は、ほ場整備事業の着工予定地であり、環境との調和に配慮することで生産活動と生活環境が調和したものとなり、その利益は農家にも及ぶことと考えている。
 また、自然環境や良好な景観といった「ふるさと」の良さを見つめ直し、貴重なものは保存しようと地域住民自らが話し合いを行っている。
 暑さのなか、約80人の参加者は全員が長靴姿に網を持参し、幅1メートルの用水路内に入り水田周辺の生き物の捕獲に汗を流した。泥だらけではしゃぐ児童もいれば、童心に返り夢中で魚を追い込む大人もいて、あっという間に2時間の捕獲が終了した。
 自然環境に恵まれた地域だけあって、コイ、フナ、タモロコ、ドジョウ、ナマズ、トノサマカエル、アマガエル、アオガエル、タガメ、ヤゴ、ザリガニ等、数十種類の生き物を数多く捕獲したほか、生態系を乱すと云われているブラックバスなども発見された。
 子供たちは、生き物の多さに驚くとともに、種類などを熱心に質問していた。同土地改良区、相田英幸理事長は「まだまだ自然は残っている。でも、昔はもっともっとたくさんいたんだよ。これからほ場整備の工事が始まるけど、このすばらしい環境を守れれば良いなあ。」と、環境保全に対する意識を新たにしていた。
 主役である土地改良区の皆さんが時を越えて土地改良区の役割を見つめ直し、地域の人たちと一緒に美しく豊かなふるさとを創ってゆくという意味で、将来を期待したい。

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水の作文コンクール表彰式
 栃木県と栃木県水の週間実行委員会主催による「全日本中学生水の作文コンクール栃木県審査会表彰式」は、去る8月4日、栃木県総合文化センターにおいて挙行された。
 表彰式は、海老沼勝義栃木県企画部長の開会挨拶に始まり、優秀賞5名、特別賞12名、佳作8名の方々に賞状と副賞が伝達された。特別賞の栃木県土地改良事業団体連合会長賞には、河内町立古里中学校3年の川島文音さんの作品「水の大切さ」(後記掲載)が受賞した。
 表彰式終了後には、水の講演会が行われ、「水と日本人」と題して、作家の井沢元彦氏が「日本人は、水を飲むとか、お茶を飲むという生活上欠かせないことを茶道という芸術にまで高めて楽しんでおり、こうしたことは、他国には例がない。」などと日本人の特性と水との係わりを講演された。


栃木県土地改良事業団体連合会長賞

「水の大切さ」

河内町立古里中学校3年 川 島 文 音


今の時代は、水道の蛇口をひねれば、水がいつでも使えるのでとても便利です。私は、今まで、水がなくて困ったり、水がおいしくなくて飲めなかったことがありません。しかし、歴史を勉強していると、弥生時代には水争いという争いがありました。
 昔は、飲む水を川からくんでくることから始まり、水を使うときは、必ず労働が必要だったのだと思いました。水田を作るためには、川から水をひくための水路を作らなければならないのでした。ところが、上流の村で水路を作りすぎると、下流の村で水不足になり、それが原因で水争いがおきてしまいました。水争いは、稲作の始まった弥生時代から、農業が中心の江戸時代まで続きました。
 いろいろ調べていくと、各地で水についての問題がおきていることがわかりました。その中の、埼玉県北部にある六堰用水について調べてみました。六堰用水の歴史は、古く約四百年前の江戸時代にさかのぼります。ここの地域では、荒川から六つの堰が取水していました。この地域は、荒川の扇状地に展開しているため、洪水や干ばつに見舞われることが多く、そのため、人々は住居や田畑の修復や、時には取水口の位置の移動も余儀なくされたりと、大きな労力を費やさなければなりませんでした。このような困難な状況にあっても、共同して用水を確保し、多少の水不足でも互いに我慢し合って雨が降るのを待ち、水争いが起きないように気を配ってきました。しかし、時として水争いは起きました。これは、極度の干ばつの折、人々が命がけで用水確保に努めた結果であり、そのため、一度水争いとなると、それまで蓄積していた不満が爆発して大きな争いに発展し、訴訟問題になることもあったそうです。また用水の管理費用は、年々かさみ、それにまつわる紛争も、毎年起こりました。このような問題を解消することは、農民にとって長年の念願でした。
大正時代から昭和時代にかけて、六つの堰を統合した取水堰として「六堰」と呼ばれた頭首工をつくりました。しかし、建設後六十数年を経て、河床低下が原因で、洪水に対する危険性が増し、また用水施設が生活雑排水の混入による農業用水の水質悪化、湧水が枯れてしまうことによる水源の地下水依存などという沢山の問題ができたので、国営事業により、平成の六堰頭首工が建設されました。今では、災害を未然に防いだり、農業用水の水質を改善することもできるそうです。
そして、交通や生活の不便が解消され、地域の人たちにも便利になりました。また、魚類の通路としての水路を二か所設け、魚が川をのぼれるように、荒川の生態系にも配慮した作りになっています。
 私は、昔から人々が水を争ってきたことを知らなかったし、洪水や干ばつなどの水害で、人々が大変な思いをしてきたということも知りませんでした。そして、水田のための用水路ができるまでには、沢山の歴史があり、県や国の行政が関係していることがわかりました。
 ふだん、穏やかに流れている川も、大雨による洪水が起きたりして、堰が流されてしまったりと、水にはとても大きな力があるのだと思いました。だから、用水を確保するためには、本当に大きな工事が必要なのです。今、私は何の労力も使わず水を使うことができます。しかし、このような歴史を知り、水がとても大切であり、もっと関心をもたなければならないと思いました。

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県内3カ所で段本先生との懇談
 全国水土里ネット顧問の段本幸男先生が去る8月4日、本県を訪れ、小山用水土地改良区、鬼怒中央土地改良区連合並びに清原南部土地改良区の3カ所において、それぞれ役員等との懇談を行った。


『小山用水土地改良区にて』


 小山用水土地改良区と鬼怒中央土地改良区連合では、新たな米政策により賦課金徴収など土地改良区運営が難しくなることを心配する意見が出された。特に農業用水のポンプアップとなると経費もかかるだけに一層それが深刻であり、段本先生が「土地改良区の維持管理問題は、与党でも重点検討ということになっていますから」と答えると「是非頼む」という場面もあった。
 このほか、転作強化や混住化に伴う排水問題も深刻化しているなどの意見が交わされた。小山用水土地改良区では、近隣の土地改良区理事長も出席されていたが、受益地が県境を挟むところもあり、諸問題の解決には、相当時間がかかるという苦労が伺われた。
 清原南部土地改良区では、清原地区の農業振興を考える会(代表・岡本芳明清原南部土地改良区副理事長)が「宇都宮農政の現状と今後の展望について」と題した農政懇談会を主催し、清原地区の認定農業者や、土地改良関係者等約40名が参集した中で、(1)平成15年度宇都宮市農業施策について、市農務部の職員から説明を受けた後、(2)土地改良区の農業振興へのかかわり方についてと題して、全国水土里ネット企画研究部長の室本隆司氏が講演。(3)段本先生の講演と懇談という中身の濃い勉強会となった。
 懇談では、最初から「10年前の挨拶も『厳しいがこれを克服していこう』だった、そして今もまた同じ挨拶。ならばこの10年、行政は、農家は、何をしてきたのか。何もしなかったのか。本当に農家に明日はあるのか」と若い農業者からの厳しい指摘があった。


『鬼怒中央連合にて』


この件に関して段本先生は「いくつ山を越えても、その先にまた山が立ちふさがる。まさに今、農家が感じている叫びだろう。しっかり頭に入れておかなければならない」と懇談後に話されていた。このほか、「地元開発のブドウでワインを作りたい。構造改革特区申請の支援を」など積極的な意見もあった。
 農政懇談会終了後は、その場で奥様方の手作り料理を堪能しながら、なごやかに意見交換。本音の意見も出て「確かに米は、これまで奨励金に胡座をかいてきたかも。転作奨励金をやめて、農業振興に回してくれた方がよいと思う」などと、膝を突き合わせて話されていた。


『清原地区にて講演』


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生きものたちの棲む農村を目指して


■ 制 作 意 図
 水田をはじめ、水路や溜池など、様々な環境がある農村は、生きものたちの宝庫です。食料生産の場である農村は、 豊かな生態系を育む「ゆりかご」の役割も果たしています。
 農業の生産条件を改善するために取り組まれてきた「ほ場整備」や「かんがい排水設備の整備」などの「農業農村 整備事業」は、農地の生産性を向上し、安定的な農業を実現してきましたが、一方では、農村の環境を生きものたちにとって 棲みにくいものへと変えてしまいました。
 近年、生きものたちが棲みやすい農村環境に戻していくことが求められると同時に、「土地改良法」が改正され、事業を 行う場合には「環境との調和への配慮」が義務づけられました。
 こうした背景のもと、「農業農村整備事業」は、地域の環境や生態系に配慮した新たな事業として歩み始めています。
 環境との調和への具体的な配慮方法を紹介し、全国各地で進められている「環境との調和に配慮した農業農村整備 事業」の事例を措くことで、事業のポイントや地域住民との問わりなど、実践的な事業への取り組み方を探っていきます。


■ 企 画   農林水産省農村振興局    ■ 制 作   日本シネセル株式会社
この映画・ビデオの販売・貸出に関するお問合せは
農林水産省農村振興局総務課広報係
〒100-8950 東京都千代田区霞ヶ関1-2-1
TEL (03)3502-8111 内線4515  FAX (03)3592-1483

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むらの伝統文化顕彰

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平成15年8月主要行事報告
行  事
1市町村土地改良担当課長・土地改良区事務局長等会議
4第25回全日本中学生水の作文コンクール栃木県審査会入賞者表彰式・水の講演会
6水辺環境体験支援事業研修会
7〜8関東一都九県土地改良事業団体連合会協議会総務・調査設計・換地担当部課長会議
7〜8関東地区農村総合整備推進連絡協議会事務責任者会議
20生態系保全型水田整備推進事業セミナー
21農業集落排水資源循環技術研修会
22平成15年度人権啓発推進農林漁業振興会議
23土地改良施設めぐり2003「新発見in那須」
26塩谷地方土地改良事業推進協議会通常総会
27〜29平成15年度農業集落排水施設管理技術研修会
28栃木県圃場整備事業連絡協議会第10回通常総会
28さいたま・ファミリー水土里フォーラム
28〜29平成15年度換地事務指導研究会・異議紛争地区処理対策検討会
29利根川水系農業水利協議会栃木県支部研修会
29小島地区担い手育成基盤整備事業竣工式

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表紙写真説明

表紙の写真『棚田の夏』

○作 者
 片 山 久 子 氏(安蘇郡田沼町在住)

○撮影地 芳賀郡茂木町

○コ メ ン ト
 平成14年度「美しいとちぎのむら写真コンテスト」景観保持・文化部門で優秀賞に輝いた作品です。
 秋色始まった8月末の棚田の一場面でしょうか。トンボでも捕りにきた子供の様子が上手く表現されています。棚田周辺の管理が行き届いており、美しい風景ですね。
 稲穂が垂れ始めていますが、今年はどうでしょうか。
冷夏の影響がないことを祈ります。
 

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