『水土里ネットとちぎ』は本会の愛称です

『初秋』
−主な内容−

第77回臨時総会・平成18年度会員研修会を開催

栃木県農村総合整備センター運営委員会を開催

栃木県農村総合整備事業促進協議会総会を開催

栃木県土地改良区統合整備推進協議会を開催

管内別土地改良団体役職員研修会・
農業農村整備事業推進懇談会を開催


市町村土地改良担当課長・
土地改良区事務局長等会議を開催



経営所得安定対策等実施要綱が省議決定

土地改良制度研究会とりまとめについて

第5回田川用水堰ふれあいまつり

農業基盤整備資金の金利改定

平成18年7・8月主要行事報告

表紙写真説明


第77回臨時総会・平成18年度会員研修会を開催
 本会の第77回臨時総会は、去る8月29日、日光市大原において、会員258名(内書面による出席122名)の出席のもとで開催した。
 総会は、大久保寿夫副会長の開会宣言に始まり、後藤伊位会長が主催者挨拶を述べた後、福田富一栃木県知事、五月女裕久彦栃木県議会農林委員会委員長より祝辞をいただき、大久保幸雄栃木県農務部技監、大塚国一同農村振興室長、細岡求同農地計画課長、各農業振興事務所農村振興部長等出席いただいた来賓の紹介が行われた。
 議事は、青木一夫烏山北部土地改良区理事長を議長に選任して進められ、平成17年度事業報告、同一般会計の決算、同財産目録の3議案を原案どおり承認、規約の一部改正、監査細則の一部改正を議決承認した後、役員の補欠選任を行い、後記のとおり選任した。
 以上で議事を終了し、小坂利雄副会長の閉会の言葉で総会の幕を閉じた。
 引き続き開催した平成18年度会員研修会では、国井正幸参議院議員が「WTO農業交渉と新たな農政の展開について」と題して、WTO農業交渉における主要論点である市場アクセス、国内支持、輸出競争毎に各国の意見の相違と我が国の主張を説明され、これらを踏まえて、新たな農政施策として品目横断的経営安定対策等を平成19年度から実施することになった旨を、また、施策の概要を解りやすく約60分にわたって説明された。
 さらに、翌日の8月30日の午前中には、大塚農村振興室長から「とちぎ水土里づくりプランについて」、
細岡農地計画課長から「農地・水・環境保全向上対策について」、粂川元一農地整備課長から「農業水利施設保全対策事業について」と題して説明していただき、活発な意見交換を行った後、解散した。

新 役 員 (敬称略)
斎 藤 文 夫(日光市長)

 

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農村総合整備センター運営委員会を開催
 本会は、去る7月19日、栃木県土地改良会館において、栃木県農村総合整備センター運営委員会を開催した。
 会議に先立って、任期満了に伴う委嘱状の交付が行われ、小坂利雄本会副会長から各委員に委嘱状が伝達された後、委員長に川崎和郎氏、職務代理者に猪瀬成男氏を選任して議事に入った。
 議事は、第1号議案の平成17年度農村総合整備推進事業実績報告については、技術指導活動、技術向上対策、収支決算等を報告し、第2号議案の平成18年度農村総合整備推進事業計画については、技術指導活動、技術向上対策、収支予算等の計画を承認、決定して終了した。

◎新運営委員会 (敬称略)
委 員 長  川 崎 和 郎
(栃木県農村総合整備事業促進協議会長)
委員長職務代理者  猪 瀬 成 男
(栃木県農村総合整備事業促進協議会副会長)
委   員  大 塚 国 一(栃木県農村振興室長)
委   員  細 岡   求(栃木県農地計画課長)
委   員  小 坂 利 雄(本会副会長)
委   員  野 澤 章 浤(本会専務理事)
委   員  薄 井 利 男(本会参事)



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農村総合整備事業促進協議会総会を開催
 農村総合整備事業を実施する市町村間において緊密な連絡をとり、事業の促進を図るとともに、事業を円滑かつ適正に施行することを目的に水土里ネットとちぎ内に設置されている栃木県農村総合整備事業促進協議会は、7月19日、栃木県土地改良会館において第30回通常総会を開催した。
 総会は、県内の農村総合整備事業実施市町28会員中、16の会員代表者が出席。来賓に、大塚国一栃木
県農務部農村振興室長、細岡求同農地計画課長、小坂利雄本会副会長等を迎え盛大に開催された。
 総会は、川崎和郎会長職務代理者の主催者挨拶に続き、来賓を代表して、大塚室長と小坂副会長が祝辞を述べられた。
 議事は、川崎会長職務代理者が議長となって進められ、平成17年度事業報告、同収支決算、平成18年度事業計画、同負担金及び払い込み方法、同収支予算の5議案を滞りなく審議決定した後、任期満了に伴う役員改選が行われ、後記の方々が選任された。
 平成17年度の主な事業実績としては、参考図書の
購入配布、各種研修会への参加、先進地視察研修の実施、国に対する要請活動の他、栃木県農業集落排水事業研究会を主催して、農業集落排水事業をめぐる各種の問題に対する議論を通じて研究活動を展開した。 




役 員 (敬称略)
会 長  川 崎 和 郎(那珂川町長)
副会長  猪 瀬 成 男(上三川町長)
監 事  栗 川   仁(那須塩原市長)
監 事  清 水 英 世(壬生町長)

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栃木県土地改良区統合整備推進協議会を開催
 本会は、去る7月25日、栃木県土地改良会館において、栃木県土地改良区統合整備推進協議会の平成18年度第1回会議を開催した。同協議会は、栃木県が推進する土地改良区の統合整備対策に積極的に参画、支援していくことを目的として、平成7年度に本会内に設置し、統合整備に関する調査、研究、啓発や指導助言等の事業を行っている。
 会議は、野澤章浤本会専務理事と細岡求栃木県農務部農地計画課長が挨拶を述べた後、委員の任期満了に伴う委員長及び副委員長の互選を行い、委員長に寺嶋勝豊吾妻土地改良区理事長、副委員長に野澤章浤本会専務理事と黒h道男鬼怒川左岸土地改良区理事長を選任した。その後、寺嶋新委員長を議長に、平成17年度活動報告と平成18年度活動計画が協議され、原案どおり承認・議決された。さらに、栃木県土地改良区統合整備三期計画の推進状況について協議した。
 なお、平成17年度事業報告においては、鬼怒川右岸地区他17地区に対する合併等の指導援助の実績を報告し、平成18年度活動計画においては、宇都宮市の田川水系地区他19地区に対する合併等の指導援助計画が協議された。
◇新委員(敬称略)◇
委 員 長 寺 嶋 勝 豊
     (吾妻土地改良区理事長)
副委員長 野 澤 章 浤
     (本会専務理事)
  〃   黒 h 道 男
     (鬼怒川左岸土地改良区理事長)
委  員 細 岡   求
     (栃木県農務部農地計画課長)
  〃   大 出   巖
     (見野土地改良区理事長)
  〃 小 坂 利 雄
     (真岡市中央土地改良区理事長)
  〃   永 島   明
     (大岩藤土地改良区理事長)
  〃   荒 井   平
     (荒川沿岸土地改良区理事長)
  〃   津久井 恭 夫
     (那須用水土地改良区理事長)
  〃   佐 藤 一 巳
     (荒川中央土地改良区理事長)
  〃  薄 井 利 男
     (本会参事)



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管内別土地改良団体役職員研修会を開催
農業農村整備推進懇談会も同時に開催
 本会と栃木県土地改良事業推進協議会(会長・小坂利雄真岡市中央土地改良区理事長)の共催による管内別土地改良団体役職員研修会は、農業農村整備推進懇談会と併せて、各地方土地改良事業推進協議会及び栃木県各農業振興事務所等関係機関にご協力をいただき、去る7月10日の上都賀管内を皮切りに7月28日の那須管内まで延べ8日間にわたり、市町村及び土地改良区等の役職員339名の参加を得て開催した。
 会議は、第1部として農業農村整備推進懇談会を開催。来賓として県から各農業振興事務所農村振興部長をはじめ、担当官及び各地方土地改良事業推進協議会長等を招き、それぞれご挨拶をいただいたほか、平成18年度農業振興事務所管内の事業の実施についてご説明をいただいた。また、本会からは、[1]水土里ネットとちぎの概要について、[2]農地・水・環境保全向上対策について本会職員が説明した後、これらを含めて土地改良事業全般及び本会運営に関する意見要望など活発に意見交換を行なった。
 なお、意見交換においては、平成19年度新規事業の農地・水・環境保全向上対策を行政と連携して積極的にPRしていることもあって、制度に関する質問や要望が最も多かった。
 第2部は、土地改良団体役職員研修会を開催し、栃木県農務部農地計画課管理指導担当官を講師に、[1]土地改良区の仕組みとして、土地改良区の性格、組織運営、定款諸規程等について、[2]土地改良事業の仕組みとして、実施手続、計画変更、施設管理等についての講義を実施した。



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市町村土地改良担当課長・
土地改良区事務局長等会議を開催
 本会は、去る8月2日、栃木県土地改良会館において平成18年度市町村土地改良担当課長・土地改良区事務局長等会議を開催した。
 会議には、来賓に大久保幸雄栃木県農務部技監、大塚国一農村振興室長、八木沢英一農地計画課長補佐、福田靖夫農地整備課長補佐を迎え、会員市町村の担当課長並びに土地改良区等の事務局長など約100名の出席を得て開催した。
 会議は、野澤章浤本会専務理事の開会挨拶に続いて、来賓を代表して大久保技監から挨拶をいただいた後、研修会に入り、初めに「栃木県の農業農村整備について」と題して、八木沢農地計画課長補佐が、首都圏農業の新たな展開を目指す県農業振興計画「とちぎ“食と農”躍進プラン」の部門計画である「とちぎ水土里づくりプラン」を説明した。「とちぎ水土里づくりプラン」は、平成18年度を初年度とする5カ年間の農業農村整備計画であり、「農業構造の改革に向けた生産基盤の整備」、「生産を支える農業用施設の維持・保全」、「元気で個性豊かな農村の形成」、「自然と調和した農村環境の保全」、「快適でうるおいのある農村生活環境の整備」の五つの柱を基本方針に掲げている。
 続いて、「水土里情報利活用促進事業について」と
題して、横山和彦本会総務部IT推進課主幹が、本会が行う事業の制度説明とGIS活用事例を中心にモデル地区のデモンストレーションを行って解りやすく説明した。
 さらに、「土地改良制度研究会での中間報告について」と題して、佐藤準全国水土里ネット専務理事が、農業の現状と土地改良制度、土地改良制度をめぐる現状と今後の方向、研究会の論点、そして、7月に公表されたとりまとめの内容を説明された。
 その後の協議では、野澤専務理事が「平成18年度県農林施策等建議要望事項」の結果を説明するとともに、平成19年度建議要望事項については、各農業振興事務所単位に開催した農業農村整備推進懇談会におる意見等を参考にし、さらには推進協議会等の意見を聞いてとりまとめると説明した。
 最後に、本会に対する意見・要望や質疑応答を行ってのち閉会した。



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経営所得安定対策等実施要綱が決定
 農林水産省は、7月24日、経営所得安定対策等大綱の実施に関する基本的骨格を示した「経営所得安定対策等実施要綱」を省議決定した。
 これは、大綱の具体化として、「品目横断的経営安定対策」、「米政策改革推進対策」、「農地・水・環境保全向上対策」の支援基準と19年産にかかる所要の予算を決めたもので、19年産の事業規模は、品目横断的経営安定対策で1,880億円、米政策改革推進対策1,850億円、農地・水・環境保全向上対策で300億円となっている。
 以下は、経営所得安定対策等実施要綱のうちの農地・水・環境保全向上対策を中心に抜粋したものである。

経営所得安定対策等実施要綱(抜粋)


基本認識

 平成17年10月27日に決定された経営所得安定対策等大綱(以下「大綱」という。)において、品目横断的経営安定対策、米政策改革推進対策、農地・水・環境保全向上対策という一連の政策改革について、対策の基本的骨格を示した。

 これらの対策を平成19年産から導入するため、品目横断的経営安定対策については、先の国会で担い手経営安定新法が成立し制度的な枠組が整備されたところであるが、その他の対策も含め、予算の裏打ちのある支援単価や事業規模等を具体化していく必要がある。その際には、今後とも品目別の対策として講ずることとしているさとうきび・でん粉原料用かんしょ対策についても、これまでの経緯も踏まえ一体的に具体化することが適切である。

 こうした観点から、この経営所得安定対策等実施要綱(以下「要綱」という。)は、大綱で決定した事項を実地に移すに当たり、必要な予算措置や運用等を明らかにするため、取りまとめ、決定したものである。その際、政府・団体が一体となって行ってきた担い手の育成・確保運動の成果や現場における声を十分踏まえたものとなるよう留意した。

 この要綱の決定を受け、平成19年度概算要求にその内容を反映していくのはもちろんであるが、秋には品目横断的経営安定対策への一部の加入手続きが開始されることを控え、制度の現場への十分な徹底や事務処理体制の整備・点検など、最終準備に万全を期すこととする。

1.品目横断的経営安定対策

1 趣旨
 我が国農業の構造改革を加速化するとともに、WTOにおける国際規律の強化にも対応し得るよう、現在、品目別に講じられている経営安定対策を見直し、施策の対象となる担い手を明確化した上で、その経営の安定を図る対策に転換する。
 具体的には、複数作物の組合せによる営農が行われている水田作及び畑作について、品目別ではなく、担い手の経営全体に着目し、市場で顕在化している諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するための対策となる直接支払を導入するとともに、販売収入の減少が経営に及ぼす影響が大きい場合にその影響を緩和するための対策を実施する。

2 仕組み
(1) 諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するための対策
[1] 加入対象者
 担い手への施策の集中化・重点化を図る観点から、加入対象者は、以下の全ての要件を満たす者とする。
・ 認定農業者、特定農業団体又は特定農業団体と同様の要件を満たす組織であること
・ 一定規模以上の水田又は畑作経営を行っているものであること
 「一定規模」とは、
ア)認定農業者にあっては、北海道で10ha、都府県で4ha
イ)特定農業団体又は特定農業団体と同様の要件を満たす組織にあっては、20ha
とし、制度開始後は、構造改革の進捗状況を定期的に点検し、その結果を踏まえ、望ましい農業構造の実現に向けた見直しを行うものとする。
 ただし、この規模については、都道府県知事からの申請に基づき国が別途基準を設けることができる。
 具体的には、
ア)物理的制約から規模拡大が困難な地域に限定し、基本原則の概ね8割の範囲内(中山間地域にあっては、特定農業団体又は特定農業団体と同様の要件を満たす組織については5割の範囲内)で緩和可能とする。
イ)地域の生産調整面積の過半を受託する組織に限り、20ha×生産調整率(7haを下限)の範囲内(中山間地域にあっては、20ha×生産調整率×5/8(4haを下限)の範囲内)で緩和可能とする。
ウ)対象品目を経営上の重要な構成要因としつつ、有機栽培、複合経営等により相当水準の所得を確保している経営については、事情に応じて個別に認定する。
 なお、上記の要件により難い特別な事情がある場合においては、都道府県知事は、その経営を施策の対象としなければならない合理的な理由を付して、対象者とすることを要請することができることとする(都道府県知事からの要請内容については公表)。
・ 対象農地を農地として利用し、かつ、国が定める環境規範を遵守するものであること
[2] 対象品目
 麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょとする。
[3] 具体的内容
 [2]の対象品目について、市場で顕在化している諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するため、担い手の生産コストと販売収入の差額に着目して、各経営体の過去の生産実績(平成16年産〜18年産の現行対策における支援対象数量を面積に換算)に基づく支払いと各年の生産量・品質に基づく支払いを行う。
[4] 面積単価・数量単価
小  麦  面積単価 27,740円 /10a
      数量単価 2,110円 /60kg
(Aランク・1等)
大  豆  面積単価 20,230円 /10a
      数量単価 2,736円 /60kg(2等)
てん菜  面積単価 28,910円 /10a
      数量単価 2,150円 /トン
(糖度17.1度)
でん原用ばれいしょ
      面積単価 37,030円 /10a
      数量単価 3,650円 /トン
(でん粉含有率17.4%)

(2) 収入の減少による影響の緩和のための対策
[1] 加入対象者
 (1) と同じとする。
[2] 対象品目
 米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょとする。
[3] 具体的内容
 [2]の対象品目ごとの当該年の収入と、基準期間(過去5年中の最高年と最低年を除いた3年)の平均収入との差額を経営体ごとに合算・相殺し、その減収額の9割について、積立金の範囲内で補てんする(農業災害補償制度による補償との重複を排除する)。
 積立金は、政府3:生産者1の割合で、拠出する。

(3) 担い手育成・確保総合対策(過去の生産実績がない案件等への対応を含む)
 担い手育成・確保の加速を図るため、認定農業者・集落営農組織に対する支援の一層の充実や金融を含む新たな支援方法の導入、農地の面的集積の更なる促進による総合的な支援を講ずるほか、加入対象者の経営発展や新規参入等を促進するため、需要に応じた生産や経営革新の取組を伴いつつ、経営規模の拡大や生産調整の強化への対応などを行う者に対し経営安定が可能となる水準の支援を行う。

(4) 19年産事業規模
1,880億円程度
(1) の対策 1,400億円程度
(2) の対策 300億円程度
(3) の対策 180億円程度
 うち過去の生産実績がない案件等への対応
70億円程度

2.米政策改革推進対策

1 趣旨
(1) 米については、平成14年12月に、平成22年度における「米づくりの本来あるべき姿」の実現を目標とする米政策改革大綱を決定し、米を取り巻く環境の変化に対応して、消費者重視・市場重視の考え方に立った需要に即応した米づくりの推進を通じた水田農業経営の安定と発展を図るため、需給調整対策、流通制度、関連施策等の改革に整合性をもって取り組んでいるところである。望ましい水田農業の生産構造をできるだけ早期に実現するためには、この米政策改革大綱に定められた道筋に沿って着実に取組を進めていくことが重要である。

(2) こうした中、平成19年産から水田において米も含めた品目横断的経営安定対策が導入されることを踏まえ、平成16年度から18年度までの3ケ年の対策として現在講じている産地づくり対策、稲作所得基盤確保対策、担い手経営安定対策及び集荷円滑化対策について、品目横断的経営安定対策との整合性を図りつつ、米政策改革大綱の趣旨に沿った所要の見直しを行う。

(3) また、米の需給調整について、水田における品目横断的経営安定対策の導入とも併せ、平成19年産から農業者・農業者団体の主体的な需給調整システムヘ移行することとする。この新たな需給調整システムについては、上記の見直しを行った米政策改革推進のための対策等を活用しつつ、農業者・農業者団体が国・都道府県等から提供される需給に関する情報や市場のシグナルを基に、自らの販売戦略に即して、生産を実行していくシステムとする。

(4) さらに、米政策改革の着実な取組を進めるとともに、新たな需給調整システムの定着が円滑に行えるよう、引き続き、担い手確保運動と連携を図りつつ、生産現場での推進を強力に進める。

2 平成19年度からの国の支援策
 米政策改革を推進するための対策については、水田において米を含めた品目横断的経営安定対策が導入されることに伴い、また、平成19年産から新たな需給調整システムヘ移行することをも踏まえ、需要に応じた生産を促進し、水田農業の構造改革を進める観点から、見直し、再編整理を行う。

(1) 産地づくり対策の見直し
 地域の特色ある水田農業の展開を図るため、地域の実情に応じて、地域自らが作成する計画に基づいて実施する取組を支援する産地づくり対策について、地域の創意工夫をさらに進める方向で所要の措置を講じる。
 本対策の実施期間は、平成19年度から21年度までの3ケ年とする。
[1] 産地づくり交付金については、地域の実情を踏まえ見直し、高度化された地域水田農業ビジョンの実現に向けて活用されること及び需要に応じた生産を的確に実施することをその交付要件とした上で、最近の米・麦・大豆・飼料作物をめぐる状況、現行対策の実施状況などを踏まえた見直しを行う。
 (ア)産地づくり交付金
・ 所要の額を対策期間中安定的に交付し、地域の創意工夫により使途や単価を設定するという基本的な仕組みは継続。
・ 地域の判断による需要に応じた作物選択を徹底するとともに、担い手を中心とする合理的な土地利用や効率的な営農体制の確立に向けた交付金の活用を促進。
 (イ)新需給調整システム定着交付金
 新たな需給調整システムの下での円滑な取組に資するため、当面の措置として、都道府県段階の判断により、使途や単価を設定し、地域条件に応じた意欲的な生産調整の取組を推進。
 なお、交付金の都道府県配分については、より効果的な活用を促進する観点から、現行対策期間中の麦・大豆・飼料作物等の水田における作物の作付状況、需給調整の実施状況、担い手の育成・確保状況及び直近の米の需要見通しなどを踏まえて行う。
 また、(イ)の一定部分については、前年度の水田における作物の作付状況を踏まえ都道府県別配分の見直しを行うものとする。
[2] 稲作所得基盤確保対策の需要に応じた米の生産を支援する機能は、産地づくり対策と一体化し、新たな産地づくり対策の中のメニューとして、米の産地銘柄ごとの需要に応じた生産を誘導しつつ、担い手への集積を促進するため、当面の措置として、都道府県の設計により、米の価格下落等の影響を緩和するための対策(品目横断的経営安定対策の加入者は対象から除く。)(稲作構造改革促進交付金)を行えるよう措置する。
・ 一般部分      (4,000円/10a)
・ 担い手集積加算部分 (3,000円/10a)
・ 対象面積については、過去の稲得加入面積から品目横断的経営安定対策(収入減少影響緩和対策)の対象に移行すると見込まれる生産者に係る面積を控除した面積を基本に算定するとともに、生産調整参加者の拡大に配慮して所要の面積を上乗せ。
 その際、この上乗せ部分の一部については、都道府県段階の判断を踏まえて、産地の需給改善に向けた流通段階の取組に活用可能とする。

(2) 集荷円滑化対策の実効性の確保
 集荷円滑化対策については、その実効性を確保し、実施する。
・ 生産者の拠出を産地づくり対策の交付要件とする。
・ 対策加入の促進に向け、18年度以降の生産者拠出金について、生産者支援金(4,000円/60kg)に充てた後も十分な資金が残る場合には、生産者へ払い戻しを行う。
・ 豊作による過剰米を区分保管する措置の枠内で、米穀安定供給確保支援機構の過剰米対策基金からの無利子短期融資(3,000円/60kg)の対象を弾力化する。
 なお、このような措置に伴い、担い手経営安定対策及び稲作所得基盤確保対策については、機能の重複の整理及び構造改革の促進の観点から、品目横断的経営安定対策の導入に併せ廃止する。

(3) 水田の利活用対策等
[1] 耕畜連携水田活用対策
 飼料自給率の向上に向け、水田における効果的な飼料生産振興を図るため、地域自らの提案により生産性の向上や生産コストの低減、作付規模の拡大等飼料生産振興に直結する取組に対する支援を措置する。
[2] 過去の生産実績がない案件等への対応(再掲(1.の2の(3)))

(4) 19年産事業規模
1,850億円程度
(1) の[1]の対策 1,480億円 程度
(対策期間中一定とする。)
(うち(ア)1,330億円程度(イ)150億円程度)
   [2]の対策 290億円 程度
(20年産270億円程度 21年産220億円程度)
(うち生産調整参加者の拡大に配慮した上乗せ部分50億円程度(20年産45億円程度 21年産40億円程度))
(2) の対策 26億円 程度
(3) の[1]の対策 50億円 程度

3 新たな需給調整システム
(1) システムの考え方
[1] 国をはじめ、行政による生産目標数量の配分は行わないが、国による需要見通し等の需給に関する情報提供に基づき、農業者・農業者団体が主体的に需給調整を実施
[2] JA等の生産調整方針作成者(方針作成者)がシステムの中核となり、地域協議会等から提供される情報等を基にJA等の方針作成者自らの生産目標数量を決定するとともに、当該JA等の生産調整方針に参加する農業者に対し、生産目標数量を配分
[3] 地域協議会は、行政、関係機関及びJA等の方針作成者の実効ある形での参画の下、方針作成者間の調整、配分の一般ルールの設定等により方針作成者の主体的な需給調整を支援し、地域全体の調整機関としての役割

(2) 都道府県別の需要量に関する情報提供の基本的考え方
 新たな需給調整システムヘの移行後、国から都道府県へ提供する都道府県別の需要量に関する情報の内容は、以下により算定した数値とする(本年秋から適用)。
[1] 各都道府県ごとの過去6年の需要実績のうち最高値と最低値を控除した中庸4年の平均値を、10割のウェイトで、都道府県別の需要見通しの数値として算定
[2] 豊作その他の要因により各都道府県ごとの前年産米の需要見通しを上回る生産があった場合には、当該過剰生産分を、全国の需給状況を勘案した上で、該当都道府県の需要見通しの数値から控除
[3] 上記を基本に、技術的細部について食料・農業・農村政策審議会食糧部会の意見を聴いた上で透明性・客観性を持って算定

3.農地・水・環境保全向上対策

1 趣旨
(1) 農業の持続的発展と多面的機能の健全な発揮を図るためには、効率的・安定的な農業構造の確立と併せて、基盤となる農地・水・環境の保全と質的向上を図るとともに、農業が本来有する自然循環機能を維持・増進することが必要である。

(2) このような中、農地・農業用水等の資源については、過疎化・高齢化・混住化等の進行に伴う集落機能の低下により、適切な保全管理が困難となってきている現状や、ゆとりや安らぎといった国民の価値観の変化等の視点も踏まえた対応が必要となっている。

(3) また、これら資源を基礎として営まれる農業生産活動については、環境問題に対する国民の関心が高まる中で、我が国農業生産全体の在り方を環境保全を重視したものに転換していくことが求められている。

(4) これらを踏まえ、地域において農地・水・環境の良好な保全と質的向上を図るため、地域ぐるみでの効果の高い共同活動と、農業者ぐるみでの先進的な営農活動を、一体的かつ総合的に支援する「農地・水・環境保全向上対策」を実施する。

(5) 本対策は、力強い農業構造の確立、効率的な農業生産を目指す経営安定対策と「車の両輪」をなし、
・ 国民の価値観の変化、新たな要請に応えることにより、その理解と納得を得つつ、
・ 社会共通資本としての農地・農業用水等の資源、更にはその上で営まれる営農活動を一体として、その質を高めながら将来にわたり保全するものであり、地域振興対策として位置付けられるものである。

2 施策の仕組み
 地域において農地・水・環境の良好な保全と質的向上を図るため、農業生産にとって最も基礎的な資源である農地・農業用水等の保全向上に関する地域ぐるみでの効果の高い共同活動と、農業者ぐるみでの環境保全に向けた先進的な営農活動と、これらの活動の質をさらにステップアップさせるための取組をともに協定に位置付け、地域住民を始めとする多様な主体の参画を得てこれらを総合的・一体的に実施する活動を支援する。
 本対策の実施期間は、平成19年度から23年度までの5ケ年間とする。

(1) 共同活動への支援
ア.食料の安定供給や多面的機能の発揮の基盤となる社会共通資本である農地・農業用水等の資源を、将来にわたり適切に保全し、質的向上を図るため、
・ 集落など一定のまとまりを持った地域において、農業者だけでなく地域住民等の多様な主体が参画する活動組織を設置し、
・ 活動組織の構成員が取り組む行為を協定により明確化した一定以上の効果の高い保全活動(現状の維持にとどまらず、改善や質的向上を図る活動)を実施
する場合に一定の支援(基礎支援)を行う。
イ.「基礎支援」は、
・ 地域の農地面積に応じて活動組織に交付。
・ 支援の要件は、具体的な活動を列挙した「地域活動指針」(注1)を基礎に設定。
 (注1)地域活動指針は、地域協議会(都道府県、市町村、関係団体等で構成)が策定することとし、国が示した標準的な指針、及び都道府県が示した方針に従い、地域の特性を踏まえた独自の活動項目を追加したものである。
ウ.支援水準(注2)
 「基礎支援」についての国の支援額は、国、地方、農業者等の役割分担を踏まえ、10a当たり単価を次のとおりとする。
 (注2)支援水準は、水路や農道等の施設の泥上げ、草刈り、点検といった資源の適切な保全管理に必要な基準的な共同作業量を、全国調査を基に算定
     10a当たり単価
・水田(都府県): 2,200円/10a
・水田(北海道): 1,700円/10a
・畑(都府県): 1,400円/10a
・畑(北海道): 600円/10a
・草地(都府県): 200円/10a
・草地(北海道): 100円/10a
エ.地域の実情を踏まえ、地方裁量を認めることとし、地域活動指針における活動項目の一部実施を活動面積の拡大に振り替えることができるものとし、支援総額を変更することなく活動対象面積を2倍までの範囲内で拡大することができることとする。
オ.中山間地域等直接支払交付金の集落協定等対象農用地については、追加の要件を付して「基礎支援」の対象とすることができる。

(2) 営農活動への支援
ア.対象地域
 「基礎支援」の実施地域であって、計画等に基づき地域として環境保全に取り組む地域
イ.対象とする活動
 農業が本来有する自然循環機能の維持・増進により、環境負荷の大幅な低減を推進するとともに、地域農業の振興にも資するため、活動組織内の農業者が協定に基づき、
[1] 環境負荷低減に向けた取組を共同で行った上で、
[2] 地域で相当程度のまとまりを持って、持続性の高い農業生産方式(注3)の導入による化学肥料・化学合成農薬の大幅使用低減等の先進的な取組を実践する場合に一定の支援([1]に対する営農基礎活動支援、[2]に対する先進的営農支援)を行う。
 (注3)持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(持続農業法)に基づき、土づくりと化学肥料、化学合成農薬の低減技術を組み合わせて行う生産方式

○ 「地域で相当程度のまとまり」とは、以下のいずれかの場合とし、取組の実態に応じて選択できるものとする。
[1] 各作物ごとにみて、集落等の生産者のおおむね5割以上が取り組む場合
[2] 作物全体でみて、集落等の作付面積の2割以上かつ生産者の3割以上が取り組む場合
○ 「化学肥料・化学合成農薬の大幅使用低減等の先進的な取組」とは、以下のいずれかの取組とする。
[1] 化学肥料・化学合成農薬を地域の慣行から原則5割以上低減する技術導入(作物ごとに現行の代替技術により低減可能な水準を考慮して設定)
[2] 化学肥料・化学合成農薬の大幅使用低減に相当する環境保全に資する先進的な取組

ウ.支援の内容
[1] 先進的営農支援
・ 先進的な取組に必要な技術の導入に係るコスト増といった掛増し的経費を基礎とし、持続農業法に基づく生産方式の導入計画(エコファーマー)の認定期間について、取組面積に応じて活動組織に交付(先進的な取組を行った農業者への配分も可)。
・ 先進的な取組に対する国の支援額(注4)は、国や地方の役割分担のほか、農業者の自助努力を踏まえ次のとおりとする。
 (注4)支援水準は、化学肥料や化学合成農薬の5割低減等を実施している農家の経営を調査し、技術の掛かり増し経費を基に算定。
     10a当たり単価
・水稲 3,000円/10a
・麦・豆類 1,500円/10a
・いも・根菜類 3,000円/10a
・葉茎菜類 5,000円/10a
・果菜類・果実的野菜 9,000円/10a
  施設で生産されるトマト、きゅうり、
  なす、ピーマン、いちご
20,000円/10a
・果樹・茶 6,000円/10a
・花き 5,000円/10a
・上記区分に該当しない作物
1,500円/10a
[2] 営農基礎活動支援
 農業者が共同で行う環境負荷低減に向けた取組に対する一定の活動経費を活動組織に交付。国の支援額は、技術の実証・普及、土壌・生物等の調査分析等活動経費を対象として、1地区当たり10万円。

(3) 地域の取組の更なるステップアップヘの支援
ア.これらの地域の活動を促進・補強し、更にステップアップさせるため、協定に基づき地域においてより高度な取組を実践した場合に一定の支援を行う。
イ.「促進費」の交付
・ 取組の地域への広がりや質の向上といったステップアップを誘導するため、地域を単位に「促進費」を活動組織に交付。
・ 「促進費」は、一定水準以上の高度な資源の保全活動、質の高い農村環境保全活動などの取組が行われる場合に、取組の水準に応じて交付。国の促進費の交付額は、国や地方の役割分担、農業者等の自助努力を踏まえ、次のとおりとする。
・交付額(1活動組織当たり)
取組水準に応じて10万円/地区、20万円/地区
ウ.特に先進的な取組を行う地域を評価することにより展示的効果を引き出す観点から、先進的な取組の評価を行い、広く全国に紹介する。

(4) 事業規模
300億円程度
うち共同活動支援 270億円程度
 うちステップアップ支援 10億円程度
うち営農活動支援 30億円程度

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土地改良制度研究会とりまとめについて
 土地持ち非農家の増加、農村における過疎化、高齢化や混住化による集落機能の低下、土地改良施設の更新時期を迎えてきたことによる事業の変化など、土地改良制度をめぐる情勢が大きく変化しつつある中で、新たな食料・農業・農村基本計画に即した土地改良制度を構築するため、農林水産省は、土地改良制度研究会を平成17年9月に立ち上げ、公開討論を重ねて、今後のあるべき姿を検討してきたところであるが、本年4月に中間とりまとめを公表、パブリックコメントを経て、7月に最終とりまとめを公表している。
 最終とりまとめの概要は、後記のとおりである。
 なお、研究会のメンバーは、次のとおり。

◆土地改良制度研究会委員(五十音順、敬称略)◆
岩 崎 美紀子 (筑波大学大学院人文社会科学研究科教授)
加 古 房 夫 (兵庫県三木市前市長)
加 藤 孝 志 (宮城県・担い手農業者)
佐 藤   準 (全国土地改良事業団体連合会専務理事)
佐 藤 洋 一 (秋田県土地改良事業団体連合会専務理事)
須 田 勇 治 (日本農業新聞論説委員)
帖 佐 敦 子 (鹿児島県・大口市農業委員会委員)
中 須 勇 雄 (社団法人大日本水産会会長)
西 川 宗右衛門(滋賀県・愛西土地改良区事務局長)
三 野   徹 (京都大学大学院農学研究科教授)座長
美濃原 弥 恵 (大阪府・アクアフレンズ代表世話人)
矢 部 延 雄 (群馬県・待矢場両堰土地改良区前事務局長)

土地改良制度研究会とりまとめの概要

<1> 農業の現状と土地改良制度

1 農業・農村の変化と新しい基本計画
(1) 食料・農業・農村基本法の制定(平成11年)後も、食料・農業・農村をめぐる情勢は大きく変化し、総じて農業の生産構造のぜい弱化が進行。
(2) 新たな食料・農業・農村基本計画における、望ましい農業構造の確立に向けた担い手の育成・確保、農地の有効利用の促進、農業生産の基盤の整備等の各種施策の総合的かつ計画的な推進等も踏まえた検証・検討が必要。

2 土地改良制度が果たしてきた役割と課題
(1) 昭和24年に制定された土地改良法は、農業・農政が直面する様々な課題に対応するため数次にわたり改正。最近では、平成13年に、環境との調和への配慮、地域住民からの意見聴取等を内容とする改正。
(2) 土地改良事業によって造成された農業用用排水施設は、総資産額約25兆円に達し、年間約1兆4千億円(公益的な効果を含めて年間約5兆円)の価値を創出。
 また、小面積・分散・不整形な農用地の大型化と農業用用排水路・農道整備を行う区画整理により、生産性向上・経営の効率化に大きく寄与。
 他方、制度創設以来半世紀以上を経て、農業用用排水施設については新設事業から適切な維持管理と効率的な更新に重心が移り、面的な整備については担い手を中心とする農用地の集団化・連坦化の促進が、それぞれ必要。また、土地改良施設管理をめぐり、農村の都市化・混住化、農業者の兼業化・高齢化により、管理作業の一層の困難化。

3 検討の視点
 基本計画で示された農政の展開方向や土地改良事業の現状にかんがみて、「土地改良施設の適正かつ円滑な管理の一層の推進」と「農業構造改革の加速化の中での土地改良事業の推進」の視点から、その方向性につき検証・検討。

<2> 土地改良制度をめぐる現状と今後の方向

1 土地改良施設の適正かつ円滑な管理の一層の推進
(1) 施設の長寿命化に配慮した適切な施設管理
 土地改良施設の長寿命化・ライフサイクルコスト低減の観点に立った、技術的により高度な保全管理が重要であり、技術的な指針とそれに即した適切な保全管理に向けた指導監督が実施されるような仕組みの検討が必要。
(2) 施設の管理及び更新の計画的な実施
 土地改良施設の管理及び更新を適時適切に実施していくためには、将来行われる管理事業と更新事業の内容について、土地改良区組合員の理解を得て計画的に取り組めるような仕組みの検討が必要。
(3) 地域における連携による施設管理等
 土地改良施設の管理に関するニーズが多様化・高度化する中で、地域住民をはじめ関係者の適切な連携による管理を可能とする仕組みについて検討が必要。また、土地改良区と市町村の間で土地改良施設の移管の動きがあることにかんがみ、より円滑な移管のための合意形成の方策について検討が必要。

2 農業構造改革の加速化の中での土地改良事業の推進
(1) 農業をめぐる変化と事業への参加の在り方
 土地の農業上の利用の増進を図るとする土地改良事業の趣旨、農地流動化や担い手への支援の重点化等の農政の展開方向、事業の運用の実態などを踏まえ、農用地の耕作者又は所有者の参加をめぐる問題を十分に認識しつつ、農業構造改革の加速化の中で適正かつ円滑な土地改良事業の更なる推進に資するような事業参加資格の在り方について検討が必要。
(2) 農用地の利用の集積と土地改良事業の在り方
 今後とも、担い手への農用地利用集積による農業構造改革を推進していくため、換地や交換分合の手法や事業と利用権設定等の一体的推進についてのより効果的な在り方についての検討が必要。

3 土地改良区の運営の在り方(土地改良区の広域化への対応)
 土地改良区の広域化が進む中で、事業実施などについてのより迅速・円滑な意思決定を可能とするような業務運営の在り方についての検討が必要。


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第5回 田川用水堰ふれあいまつり
 田川用水土地改良区、徳次郎新二宮用水組合、上金井土地改良区、田川中部土地改良区、給分用水土地改良区、細工瀬堰用水組合の6団体で構成組織する宇都宮市田川水系農業利水協議会(会長・入江陳夫田川用水土地改良区理事長)は、去る8月19日、宇都宮市街地を流れる田川の宮の橋下流、田川用水堰周辺において第5回のふれあいまつりを開催した。
 一般参加者など約120名が参加してのふれあいまつりは、“水とふれあい魚とあそぶ”をサブタイトルに魚の観察、魚のつかみどりなどの体験をとおして、次世代を担う子どもたちが川の自然に親しみ、川を慈しむ心を育て、田川の水が農業用水として利用されていることや用水の歴史を学びながら、農業用水を管理している土地改良区の役割を知ってもらうことを目的に開催された。
 入江陳夫会長が主催者を代表して挨拶に立ち、『この田川の水が農業用水として田んぼに入りお米が作られていて、その水を田んぼまで引いていく水路や堰の管理をしているのが土地改良区の役目であり、おいしいお米を作るためのきれいな水や川を守っていくのも大切な役割です。皆さんも出来ることを協力していただきたい。』と話された。
 開会式終了後、田川用水堰下流部の浅瀬にスタッフが魚網で囲って作った生簀にマスを放流し、魚のつかみどりが行われた。マスが放流され、つかみどりが開始されると、参加者は一斉に川に入り、保護者も子どもと一緒になって童心にかえって魚を追いかけていた。放流した350匹のマスは、たちまちのうちに、夫々が持参したバケツに溢れんばかりに捕獲されて、参加者は誇らしげに満面の笑みを浮かべていた。

 次に、子供たちは、開会前に主催者が行った堰下流側での魚の棲息調査で捕獲した魚を入れた水槽を囲んで、担当者から魚種別の特徴や生態などの説明に熱心に耳を傾けて魚の観察を行った。その後、捕獲した魚は、子供たちによって川に再放流したが、オイカワ、タモロコ、フナ、コイ、アユなど多くの種類の魚が田川にも棲んでいることに驚いた様子であった。
 
 次は、川が洪水で増水した時に堰がどのように働くのか知ってもらうため、田川用水土地改良区の堰管理者が操作盤から遠隔操作によりゲートを転倒させ、増水した水をいち早く下流へ排水する様子を間近に見ながら水を管理する土地改良区の役割を学習した。子供たちは、堰ゲートを起立させた後の下流側に出来た浅瀬に入り、塞き止められた水が堰を越流するまでの30分ほどのわずかの時間ではあったが、水しぶきや歓声を上げながら思い思いに川遊びを楽しんでいた。

 当日は、残暑が厳しく蒸し暑い日であったが、最後にスイカ割で楽しんだ後、このスイカとマスの塩焼きに舌鼓を打ちながら、普段では味わえない市街地の真中での“水とふれあい魚とあそぶ”体験に談笑する親子の姿が印象的であった。


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農業基盤整備資金の金利改定
 平成18年5月24日付で、農林漁業金融公庫の農業基盤整備資金の貸付利率が次のとおり改定されました。
 なお、借入時の金利は、金融情勢により変動しますので、最新の利率は最寄の農林漁業金融公庫にご確認ください。

区 分現 行改 定
補助事業県 営2.35%2.25%
団体営2.20%2.10%
非 補 助一 般2.20%2.10%

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平成18年7・8月主要行事報告
7月
行  事
3本会第2回監事会
3宇都宮市田川水系農業利水協議会第12回通常総会
5平成18年度換地計画指導者実務研修会
5関東ブロック水土里情報センター連絡会議
7栃木県圃場整備事業連絡協議会第13回通常総会
10上都賀管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
11平成18年度換地事務指導研修会及び異議紛争処理対策検討会
11平成18年度南那須地域土地改良事業推進協議会総会
11南那須管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
13安足管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
14塩谷管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
14鹿沼市土地改良事業協議会第49回通常総会
18品目横断的経営安定対策推進大会
19栃木県農村総合整備事業促進協議会第30回総会
19栃木県農村総合整備センター運営委員会
20ISOサーベランス
20下都賀管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
25平成18年度第1回栃木県土地改良区統合整備推進協議会
25本会第2回理事会
25平成18年度栃木県土地改良事業推進協議会第1回監事会
26河内管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
27芳賀管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会
28那須管内農業農村整備事業推進懇談会及び土地改良団体役職員研修会

8月
行  事
2市町村土地改良担当課長・土地改良区事務局長等会議
7第28回全日本中学生水の作文コンクール栃木県審査会表彰式
10換地関係業務新規担当職員研修会
10全国ため池等整備事業推進協議会通常総会
10都道府県水土里ネット事務責任者会議
10〜11関東一都九県水土里ネット協議会総務・調査設計・換地担当部課長会議
18利根川水系農業水利協議会栃木県支部研修会
19第5回田川用水堰ふれあいまつり
24〜25平成18年度下都賀地方土地改良事業推進協議会会員研修会
25平成18年度塩谷地方土地改良事業推進協議会通常総会
29本会第77回臨時総会
29〜30本会平成18年度会員研修会

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表紙写真説明

表紙の写真『初秋』

○撮影者
 石 川 貞 明 氏
 (宇都宮市南町在住)

○撮影地 佐野市

○コ メ ン ト
 平成17年度「美しいとちぎのむら写真コンテスト」農村のくらしと文化部門で入選に輝いた作品です。
 転作作物として蕎麦を栽培しているのでしょうか、一面に咲く蕎麦の白い花が絨毯のようで奇麗ですね。野道を散歩する家族の姿が写真全体を引き立てていると思います。
 近年の健康ブームで蕎麦が見直されていますが、きっと美味しく実ることでしょう。
 

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